『Believe』木村拓哉と天海祐希の“言葉”を超えた夫婦の愛 「狩山は最高の人材」の真意は?

『Believe』“言葉”を超えた夫婦の愛

 『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日系)最終回前となる第8話では、狩山(木村拓哉)が妻・玲子(天海祐希)との時間を過ごす。たった1時間だけ許された夫婦としての時間。警察が張り込んでいることを分かっていながらも、狩山は自宅のマンションへと帰ってくる理由があった。

 事件に巻き込んでしまったことの謝罪。けれど、狩山は玲子と会話をしていくうちに、自身の心のうちにある思いの正体が見えてくる。それは復讐心。帝和建設社長の磯田(小日向文世)にも裏切られ、誰も信じられなくなった狩山の正義の闘いは、いつしか復讐へと形を変えていた。そのことを象徴するのが第7話を機に変貌していった、怒りに打ち震える鬼の形相だ。

 弁護士の秋澤(斎藤工)、坂東組の社長・坂東五郎(北大路欣也)にも裏切られた狩山。自宅の玄関に入った時点で警察に張られていることは察しながらも、そのままに残された生活の香り、「おかえり」と「ただいま」、夫婦としての何気ない会話といつもの口喧嘩、未来の家の設計図を描く狩山の熱心な横顔からはいつの間にか憎しみの表情が消えていく。

 何より狩山が自身の思いに気づくことができたのは、玲子の言葉からだった。「もう一回だけ自分を信じるよ。きっと方法はある」と当初の目的だった謝罪は、無実を証明してからだと話す狩山。タイムリミットが迫っていることをお互いに理解した上での、込み上げる感情を抑えながらの芝居には観ているこちらも感極まるものがある。急に玲子の腕をグッと引き寄せ、書斎を見据えながら、「あとさ、碓氷峠の写真、飾ってくれてありがとう。嬉しかった」という一連の流れは、木村拓哉でしか表現できない緩急の演技だ。

 対して、玲子から滲み出ているのが、狩山との夫婦としての思い出の詰まったリビングを大切にしていること、そして狩山への妻としての愛情だ。刑事の白石(前川泰之)との約束だった1時間以内の合図をなかなか出さずにいたのは、龍神大橋崩落の真実を警察に伝えるためでもあるだろうが、隠しカメラの入った紅茶の瓶の角度を変えたのは夫婦としての時間を確保するための、せめてもの反抗にも捉えられる。

 結果的に、その行動が逆効果となり、白石は狩山が妻を人質に取ったと判断し、突入を早めてしまうことなる。監禁剤の現行犯として逮捕という、思い出が嫌な記憶で上書きされてしまった。

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