【アニメ】神回・オブ・ザ・ウィーク
『となりの妖怪さん』の衝撃は『進撃の巨人』級 『ガルクラ』などGWも“神回”がひしめく
おもしろめんどくせー過ぎる女『ガールズバンドクライ』
ギアが上がるどころか第1話からずっと暴走気味の『ガールズバンドクライ』ですが、第5話もものすごかった。本作については3Dキャラクターによる映像の楽しさ、エモーショナルかつ巧みでキャッチーな脚本、リアルバンドの話などいろいろ触れたく、リアルサウンド映画部でもいくつか記事が出ているのでそちらも参考にしてほしいですが、主人公バンド・新川崎(仮)が初めてライブハウスのステージに立つ第5話では、改めて主人公・仁菜に惚れ惚れしてしまいました。
ショッキングな場面に出くわし逃げ出した先で、寄り添うバンドメンバーに「すごい汚い言葉を言ってしまいそうだからちょっと待って、先に無意味に叫んで気持ちだけ吐き出しちゃうから」と言って言葉にならない叫びの末に、最後にはきっちり「クソが! 死ねーーー!」と言っちゃう非痛感。居酒屋でドリンクをかけ合うほどの言い争いをしておいて、仲裁(と煽り)に徹してくれたバンドメンバーにも「顔見てムカついたからつい」とウーロン茶をぶっかける身勝手さ。ほかにもこの話では仁菜の奇行がたくさんあり、ときにユーモラスに描かれます。でも、これくらい滅茶苦茶やりたい気持ちを若い頃はみんな持っていたはずで、まあ実際にやるかはさておき、そんな気持ちがとっくに萎えた人間に彼女の姿はあまりに眩しく胸が締め付けられます。
こんなに“いい子じゃない”女性主人公は『クロスアンジュ』のアンジュ以来では。オジサン向けには、『ベルセルク』における蝕後のガッツみたいな雰囲気と言えばいいでしょうか。そもそもロックをやる人間なんて反骨精神で動くべきで(古臭い価値観なのは重々承知です)、過去のガールズバンドアニメでこういう主人公がいなかったのが不思議なくらいです。口さがないファンからは「(出身地である)熊本の狂犬」「中指立て子」などと呼ばれる彼女ですが、この勢いのまま最終回まで突っ走って、最高のロックヒロインとして泣き笑いさせてほしいものです。
そんなOP入りアリなのか『この素晴らしい世界に祝福を!3』
最後は小ネタを。相変わらずのドタバタ劇が楽しい『このすば』3期ですが、この回のアバンではダクネスの絶叫が被るかたちでオープニング入りという珍しいパターンでした。こういうちょっとした工夫が楽しい。
最近のこういったアニメの定型を活かした演出というと近年では2023年の傑作『冰剣の魔術師が世界を統べる』が記憶に新しいですが、個人的には『ソウルイーター』第17話でエクスカリバー(CV:子安武人)が歌いながらCM入りし、そのままCMの裏で歌いっぱなしだったことも忘れられません。『このすば』のド安定な滅茶苦茶さを思うと、さらなるやりたい放題に期待が高まります。
■放送情報
『となりの妖怪さん』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週土曜26:00〜放送
キャスト:結川あさき、比嘉良介、梶裕貴、浦山迅、大地葉、浜田賢二、田村睦心、三瓶由布子、潘めぐみ、甲斐田裕子、三上哲、川澄綾子、橘龍丸、川島得愛、田中秀幸
原作:noho(出版社 イースト・プレス『となりの妖怪さん』)
監督:山内愛弥
シリーズ構成:金春智子
キャラクターデザイン:阿部慈光
プロップデザイン:安藤暢啓
美術監督:坪井健太
色彩設計:小野寺笑子
撮影監督:長谷川奈穂
音楽:エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ/Blue Bird’s Nest
音響監督:八巻大樹
OP主題歌:Pii「お化けひまわり」
ED主題歌:久保あおい「イロノナカ」
アニメーション制作:ライデンフィルム
製作:「となりの妖怪さん」製作委員会
©noho・イースト・プレス/「となりの妖怪さん」製作委員会
公式サイト:tonari-no-yokai-san.com
公式X(旧Twitter):@TonarinoYokai3