『さよならマエストロ』最後のコンサートで俊平が粋な演出 「カルメン」に通じる名曲は?
思っていたよりも早くその日はやってきた。『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』(TBS系)第6話で、晴見フィルはあおぞら文化ホールでさよならコンサートを開いた。
数年ぶりに家族4人で食卓を囲んだ夏目家。親子のわだかまりは解けたものの、公私ともに俊平(西島秀俊)の課題は山積みだ。3月末で廃団が決まった晴見フィルは、晴見市のあおぞら文化ホールが2月いっぱいで閉館することで、練習場所を失うことになった。最後にコンサートをしたいという望みは、新規のイベント申請を受け付けない市の方針によって断たれた。そのことを知った二朗(西田敏行)は、2月下旬の梅まつりで演奏することを提案。申請済みのイベントにまぎれて来場者に楽しんでもらおうと言うのだ。
さよならコンサートの演目はビゼー作曲「カルメン」。晴見フィルの第1回定期演奏会の演目が「カルメン」だった。「ハバネラ(恋は野の鳥)」では、瑠李(新木優子)の歌唱がフィーチャーされることになった。初登場時から“恋多き女”であることが強調された瑠李だが、第6話ではこれまで見せなかった横顔をのぞかせた。
身近に慣れ親しんだものがなくなると、心にぽっかりと穴が開いたような寂しさを覚える。市民ホールは晴見フィルのメンバーにとって思い出の場所だった。瑠李は小さい時に父と母が離婚。両親が顔をそろえるのは年に一度の発表会で、その日を目指してフルートの練習に打ち込んだ。コンサートマスターの近藤(津田寛治)は第1回の演奏会から参加。「ウサギとカメならカメ」と二朗が評する近藤は、学生時代、指揮者に憧れていた。今でも率先してイスを運ぶなど、縁の下の力持ちとして楽団を支えている。メンバーの話を聞いた俊平はコンサートであるアイデアを考えつく。
文化行政がもてはやされたのも今は昔、多くの市町村で老朽化したホールや文化施設が閉館している。財政再建と持続可能な仕組みを構築すること自体に非はないが、人々が行き交うその場所は、多くの人にとって人生の1ページになっている。