『光る君へ』本郷奏多の花山天皇が“官能的”過ぎる 吉田羊の芝居が物語る詮子の悲しみも

『光る君へ』花山天皇が“官能的”過ぎる

 第4回は、詮子(吉田羊)に心揺さぶられる回でもあった。吉田羊の演技は、詮子から円融天皇への一途な愛情と、一族の繁栄のために利用される詮子の悲しみを物語る。

『光る君へ』第4回

 詮子は円融天皇の譲位を知り、挨拶のために謁見する。詮子は円融天皇を思い慕っていたが、円融天皇は詮子を冷たくあしらう。粛々と挨拶する詮子の言葉を円融天皇は「黙れ」と遮った。円融天皇は軽蔑するような目で詮子を見下ろすと「朕に毒を盛ったのはお前と右大臣のはかりごとか」と言う。詮子には何のことかわからない。何も知らない詮子に円融天皇は扇を投げつけると、顔に傷を負った詮子にこう言い放った。

「人のごとく血なぞ流すでない。鬼めが」

『光る君へ』第4回

 円融天皇の心を取り戻せなかったばかりか、憎まれてしまった詮子が、愕然とした面持ちで息を詰まらせる姿に心が苦しくなる。

 詮子は父・藤原兼家(段田安則)のもとへ行くと、「帝に毒を盛ったというのはまことでございますか!」と声をあげた。けれど、兼家はしらばっくれるばかりだ。知らんふりを決め込む父を前に、詮子は悔しさや悲しさ、やるせなさを感じさせる涙を流す。詮子は兄・藤原道隆(井浦新)が制するのをふりはらい、自身を諌める道隆に「兄上は何もご存知ないのですか!」「嫡男のくせに!」と怒りをぶつける。詮子は兄・藤原道兼(玉置玲央)と弟・道長にも涙ながらに訴えかけるが、真実が語られることはなかった。

『光る君へ』第4回

 詮子の立場に胸を締め付けられる。第2回では円融天皇に文を送り、数年ぶりに顔を合わせることができたものの「見苦しいことをするな」「汚らわしい」と吐き捨てられてしまった。「もう、あのころのことは覚えておらぬ。そなたも忘れよ」と言われた時、詮子は一筋の涙を流していた。円融天皇から深く傷つけられた詮子だが、父に向けて言った「お命までも危うきにさらすとは……」という言葉からも分かる通り、どんなに傷つけられても詮子は円融天皇を一途に慕い続けているのだとわかる。

 詮子がその場を去った後、兼家は「興が冷めた」と言い放った。兼家は詮子の心や帝の命には何も思わず、ただ一族の繁栄のために行動する。事情を知らなかった道隆もまた、父の思いを優先した。道長だけが、ゾッとした眼差しで父を見つめていた。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK

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