中村倫也、3年ぶり朝ドラ帰還のインパクト 『風、薫る』の空気を一瞬で変えた存在感

8月4日に放送された『風、薫る』(NHK総合)第92話では、中村倫也が3年ぶりに朝ドラに登場した。
りん(見上愛)は、黒川(平埜生成)たちと赤痢が発生した坂塚村にやってきた。赤痢にかかったアサ(美山加恋)を荷車に載せて、避病院になっている寺へ向かう。寺の境内に足を踏み入れると、凄惨な光景が広がっていた。淀んだ空気の室内には、わらを巻いた患者たちが転がっている。苦悶の表情を浮かべ、口々にうめき声をあげていた。そこは死を待つための場所だった。

村医者の田島(中野英樹)によると患者は25人。医師は田島だけで、重症患者を前になすすべなしという状況だった。話を聞いたりんはすぐさま障子を開き、換気と掃除、消毒を開始する。避病院を医療が可能な環境に変えるためだった。看病婦に消毒の手順を教え、指示を出すりんの判断には迷いがなく、看護婦取締だった頃の機敏さを取り戻していた。
りんが柳生藤次(中村倫也)を見たのは部屋の外の廊下。わらの下から手だけ出し、赤痢による死者だと思われたのも仕方がない。りんが合掌し、遺体の安置場所を尋ねたとき、ガサゴソとわらが動いて、「まだ生きてる」の声とともに中から人の顔が現れた。

中村倫也の朝ドラ出演は、『風のハルカ』(2005年度後期)、『半分、青い。』(2018年度前期)、『ブギウギ』(2023年度後期)に続いて今作が4作品目となる。過去作でも印象的な役柄で爪痕を残してきた中村だが、『風、薫る』もインパクトのある登場シーンで視聴者の期待に応えた。
東京から来た藤次は、村に赤痢を持ち込んだと言われて目の敵にされており、廊下で養生していた。「中に入ったら何をされるか」わからないからだ。赤痢で荒い呼吸とはいえ、声はしっかりしており生命力の強さを感じさせる。体内の病原菌と戦う闘病中の患者を、中村は全身で表現していた。

医療に裏づけられた方針とりんの的確な指示によって、避病院が療養に適した場所に生まれ変わる過程は、観ていて気持ちの良いものだった。それでも看病婦の中には、染(大浦千佳)のように感染への恐怖を訴えるものもいた。りんは、おびえる染に「怖くていい」と言い、感染しないため清潔にするのだと説明し、「ちゃんと怖がって看護しましょう」と寄り添った。
りん自身にも葛藤があった。故郷の村でコレラが発生したとき、信右衛門(北村一輝)を死なせてしまったこと。あのとき、本当はどうすればよかったのだろうという後悔はずっと胸に残っていた。看護婦を辞めた自分が現場に立つことができるかという不安もあっただろう。「おっちょこちょいのちょい」の端唄が口をついて出るのは、失敗してきた自分をとがめる気持ちもあったのではないか。

悩みながら看護を続けるりんのもとに最強の援軍が到着する。いつでも背中を押してくれたのは直美(上坂樹里)だった。りんと直美は、力を合わせて赤痢の拡大を防げるだろうか。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK























