狂気的な役柄から普通の女性まで 奈緒がどんな役も“ハマり役”に見える理由

奈緒がどんな役も“ハマり役”に見える理由

 残された時間が3カ月しかないとしたら、わたしは何をして過ごすのだろう。誰に会って、どこに行き、どんな夢を叶えたいと願うのだろう。そんなことを考えさせられるドラマ『春になったら』(カンテレ・フジテレビ系)が、いよいよ1月15日よりスタートする。

 本作は、3カ月後に結婚する娘・瞳(奈緒)と、3カ月後にこの世を去る父・雅彦(木梨憲武)のかけがえのない日常を描くホームドラマ。ステージ4の膵臓がんだと発覚したあとも、雅彦は治療をせず、やり残したことを思い切りやって死にたいと思っている。しかし、そう簡単には飲み込めないのが娘の気持ちというものだ。「俺の終わり方は、俺に決めさせてくれよ」と突っぱねる雅彦に、「お願いだから、治療を受けてよ」と懇願する瞳。第1話の予告映像を観ただけで、涙腺が緩んでしまった。

 主演を務める奈緒が広く知られるきっかけとなったのは、やはり朝ドラ『半分、青い。』(NHK総合)だろうか。ヒロイン・鈴愛(永野芽郁)の親友・菜生は、ポニーテールとリボンがトレードマークの天真爛漫な女の子。“可憐”というイメージがぴったりだったため、翌年放送のドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)で怪演を見せた時は「演じてるのは菜生ちゃんと同じ人だよね……?」と思わず名前を確認してしまった。同作で演じた“尾野ちゃん”こと尾野幹葉は、急にオイルマッサージを施したり、顔面に謎の液体をぶちまけたりと、数々の奇行を連発。サイコパスという言葉では片付けられないほどの“ヤバ女”っぷりを見せていたのだ。演じる上でカロリーが高いキャラだったと思うが、役者としての幅を広げたのは間違いないだろう。

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 そして、奈緒を語る上で欠かせないのが、映画『マイ・ブロークン・マリコ』(2022年)での名演技だ。本作で奈緒が演じたマリコは、幼いころから父親に暴力を振るわれ、やっと心を許せた恋人にも殴られ……。奪われるばかりの人生を送っているうちに、壊れてしまった26歳。楽しそうにしていてもどこかに闇を感じさせるような不気味さがあり、親友のシイノ(永野芽郁)に、「ぶっ壊れてるんじゃないの?」と言われて「そうだよ。わたし、ぶっ壊れてるの」と淡々と答える姿は、少しでも触れたらパラパラと崩れ落ちてしまいそうな脆さがあった。この“守ってあげなきゃ”と思わせる脆さこそが、シイノの行動への説得力となっていたのだ。

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