綾瀬はるか×上白石萌歌が作り上げてきた愛のカタチ お正月だからこその『ぎぼむす』FINAL
1月2日、ついにドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系/以下、『ぎぼむす』)がシリーズFINALを迎える。
仕事はできるのにそれ以外となると恐ろしいほど不器用で謙虚で愛らしい亜希子(綾瀬はるか)と、父・良一(竹野内豊)ゆずりの太陽のような朗らかさを持ったみゆき(上白石萌歌)の日常をまだまだ見守っていきたかった――。
『義母と娘のブルース』感謝せずにはいられないフィナーレに “愛”に溢れたドラマの軌跡を振り返る
「私が笑ったら自分が笑った気になるってさ、私が傷つけられたら自分のことみたいに怒るってさ、自分が欲しかったもの全部あげたいってさ…
2018年9月、連続ドラマ『義母と娘のブルース』の最終回を観終えた筆者は、上記のようにコラム(『義母と娘のブルース』感謝せずにはいられないフィナーレに “愛”に溢れたドラマの軌跡を振り返る)に記していた。そして、その願いは、2020年、2022年の『謹賀新年スペシャルドラマ』で叶えられることに。それこそ、このドラマで大切に描かれた「小さな奇跡」そのものだと思った。
そして、先述したコラムでは、こうも続けていたことを思い出す。「そして大樹(井之脇海)とみゆきが新たな家族を作っていくところを、そして麦田章(佐藤健)率いる『麦田ベーカリー』が第二のキムタヤになるところを……何年でも見届けたかった」と。今作の予告映像では、みゆきのウェディングドレス姿が収められているところをみると、まさにその様子が描かれるようだ。
とはいえ、タイトルに“FINAL”とあるように、いよいよ『ぎぼむす』も本当に見納めだと思うと実に寂しい。その寂しさは、ひょっとしたらみゆきの巣立ちが近づいている亜希子のそれと近いものがあるかもしれない。
みゆきがいきなり結婚を宣言!?
そろそろ大学を卒業するというタイミングのみゆき。だが、亜希子は就職活動を全くしていないことに気づいてしまう。完全に出遅れていることをどう思うのかとみゆきに問うと、麦田(佐藤健)が店長をしている「ベーカリー麦田」でのアルバイトをこのまま続けていけばいいのでは、となんともお気楽な答えが。
しかし、良一から「娘を守って育ててほしい」と託された亜希子としては、「ベーカリー麦田」というホームだけでなく、広い社会に出てたくましく生きる力を身につけてほしいと願う。
もともとバリバリのビジネスパーソンだった亜希子。どんなときもクライアントを満足させる結果を出してきた彼女が本気になった就活対策とはどんなものだろうか。きっと、みゆきをその気にさせ、採用企業側もびっくりな就活生が誕生するに違いない。
その予想通り、どうやらみゆきが希望する企業への選考も順調に進んでいく様子。これで一安心……なんてことにはならないのが『ぎぼむす』の面白さであり、予定通りになどいかない人生そのものだ。みゆきが大樹と共に深刻な顔をして亜希子のもとへ。なんと2人は「すぐに結婚したい」と言い出すのだった。
亜希子が義母として担う最後の役目
いきなり結婚とはどういうことなのか……は、本編をぜひ楽しみにしてもらいたいところ。それと同時に、このドタバタ展開を通して注目してもらいたいのが、亜希子とみゆきの関係性の変化だ。これまで亜希子はみゆきを「守り、育てる」という保護者の立場でいたが、本作ではその限りではなさそうだ。
自転車の乗り方を教えたり、働く親の背中を見せたりと、これまでできるかぎりのことを全力でみゆきに与えてきた亜希子。だが、当然ながらみゆきもいつまでも子どもでいるわけではない。
親としては、これまでの人生経験から「こうした方がいい」と子どもに道標を示したくなるけれど、自らの意思で新しい道を切り開いていこうという若者の勢いはすさまじい。そして最初こそ危なっかしく見える足取りだとしても、歩き始めたら驚くほどたくましく進んでいくことも。
これから自分の人生を歩んでいくみゆきにできることと言ったら、その意思を尊重して応援することくらいだ。そんな親としてできることが少なくなっていくのは、これまでの苦労が報われた喜びを感じる一方で、役目を終えていく寂しさも感じられる。
以前、亜希子はみゆきに与える行動を「してあげたいからしている、自分のエゴなのだ」と話していたことがあった。でも、そんな亜希子にみゆきは「それを愛っていうんだよ」と言い換えた。「してあげる愛」から、「見守る愛」へ。子どもの成長に伴って、親が与えられる愛も変わっていく。子どもの巣立ちという大きな節目で、亜希子が見せた義母としての愛のカタチに注目だ。