佐藤健は今なぜ“ドラマ”で輝くのか? 『半分、青い。』『義母と娘のブルース』真逆の役を好演

佐藤健、『半分、青い。』『ぎぼむす』で好演

 佐藤健と言えば、29歳にしてすでにいくつもの代表作がある俳優だ。特に、近年は映画での活躍が目覚ましく、ドラマは2015年の『天皇の料理番』(TBS系)から遠ざかっていた。

 しかし、2018年は朝ドラ『半分、青い。』(NHK総合)でヒロイン鈴愛(永野芽郁)の幼なじみとして高校生から40代になろうとしているところまでを演じており、7月からは、『義母の娘のブルース』(TBS系)にも出演。こんなに毎日のように佐藤健の顔を見るとは、ちょっと近年は想像していなかった出来事である。

 今までの役のイメージから来る佐藤健の印象はというと、クールで、あまり多くを語らず、何でもできて、それだけにちょっとだけとっつきにくい、そんな勝手なものを持っていた。

 しかし、今回の『半分、青い。』律役に限って言えば、そんな印象がうまく生かされたキャラクターであり、半年間という長い期間、じっくりと描かれてきたことによって、今、かつてないほどの親近感を持って、佐藤健のことを見守っている自分がいる。それは、朝ドラが朝ドラらしくうまくいった1つの成果かもしれない。

 佐藤健が演じている律は、周囲の人よりも何もかも秀でていて、人が持っているはずの何かを持っていないということで悩むこととは無縁の人に見える。しかし、律本人としては、何かを持っていない気がして生きているのだろう。例えば、鈴愛のように、これと思ったら、猪突猛進でなりふり構わず突き進むようなバイタリティは持っていない。そんな風に、まっすぐに目的に向かうということは、あまり冷静に考えすぎてはできないからだ。

 しかも、律は高校受験と大学受験、二度も失敗している。それも自分の実力ではなく不慮のアクシデントで。そこには自分の実力に対する不安を、事故にかこつけたという意味あいもあったようだ。

 こんな複雑な心情は、もしもうまく役の背景を信じさせることができない人が演じたら、支離滅裂になってしまうこともあるかもしれないが、なぜか律の気持ちが手に取るようにわかってしまう。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる