山下美月&久保史緒里らの坂道を照らした“星”の生田絵梨花 乃木坂46、2023年の現在地

乃木坂46現役生/卒業生の2023年

 誤解を恐れずに言えば、これらの多くはグループを卒業し、アイドル活動から俳優業に専念しての結果とも言えるが、山下美月は乃木坂46の活動と並行しながら2023年に連続ドラマへ5本出演するという快挙を成し遂げた。2022年から年またぎでの朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK総合)を皮切りに、『スタンドUPスタート』(フジテレビ系)、『弁護士ソドム』(テレビ東京系)、『さらば、佳き日』(テレビ東京系)、『下剋上球児』(TBS系)の5作。『弁護士ソドム』の変装が得意な元結婚詐欺師から、『下剋上球児』のしっかり者で弟思いの姉まで、レンジの広い役柄を演じ分けており、例えば『舞いあがれ!』の関西弁と『下剋上球児』の三重弁は細かな違いがあるなど、山下は作品ごとに俳優としてのチャレンジを続けている。

 一方で久保史緒里はドラマに映画、舞台と幅広い活躍を見せていた。大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)を筆頭に、ドラマ『落日』(WOWOW)、映画『リバー、流れないでよ』『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』、舞台『天號星』の山下と同じく5作。中でも『どうする家康』で演じた徳川家と織田家の間で揺れる五徳という役は、いわゆる“築山殿事件”に繋がるキーパーソンであり、セリフとその心情が一概にも一致はしていない難しい役であった。父・信長(岡田准一)に徳川家の監視を命じられ、ほっぺを鷲掴みにされる五徳が抱いていたのはどちらにも居場所がない孤独だった。

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 久保はいわゆる「築山殿・信康事件」以降は五徳として出演することはなかったが、最終回前に放送された『大河ドラマ舞台裏スペシャル もうひとつの“どうする家康”』(NHK総合)のナレーションを担当。そこには主演の松本潤のクランクアップの場に立ち会っている姿が映し出されており、松本にとっての初の展覧会『PERSPECTIVE ‐時をつなぐ眼差し‐』にも足を運んでいることが明かされている。瀬名を演じた有村架純をはじめ、『天號星』での古田新太、山本千尋など、その一つひとつの“ご縁”が次に繋がっていくことを久保は予感させてくれる。

 遠藤さくらは朝ドラ『らんまん』(NHK総合)で、主人公の万太郎(神木隆之介)と寿恵子(浜辺美波)の娘・千歳を演じた。決して作品への出演歴が多くはない遠藤にとっては大抜擢と言える役であり、山下が繋げた朝ドラの襷でもある。『らんまん』への出演決定を受けて、『トラックガール』(FOD)がフジテレビの地上波で放送が決定したのも印象深い。2023年に朝ドラ、大河で活躍を見せた山下、久保、遠藤の3人が出場する『紅白』は否が応でも期待がかかる。

 舞台では中村麗乃が、堂本光一が作・構成・演出・主演を務めるミュージカル作品『Endless SHOCK』『Endless SHOCK -Eternal-』でヒロイン・リカ役を好演。グループとしては、かつてない新たなフィールドでの挑戦となり、この作品への出演を機に中村の女性ファンも以前より増えたと聞く。与田祐希はドラマ『量産型リコ』(テレビ東京系)シリーズの続編、『量産型リコ -もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-』のほか、映画『OUT』でヒロイン・皆川千紘を熱演している。

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 乃木坂46としては、ドラマ、映画、舞台と活躍しているのは3期生、4期生が中心であり、5期生は言わば“温存”しているという言い方が適切であるように思うが、その先駆けとして奥田いろはが、2024年5月より新国立劇場中劇場で上演されるミュージカル『ロミオ&ジュリエット』でジュリエット役を演じることが発表されている。かつての生田のバトンを受け継ぐメンバーであり、次の時代を築いていく新たな希望だ。

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