乃木坂46 遠藤さくら、『らんまん』はかつてない“冒険”に 朝ドラで俳優としての才能開花?

遠藤さくら、『らんまん』はかつてない冒険に

 乃木坂46の遠藤さくらが、槙野千歳役として9月12日放送回より『らんまん』(NHK総合)に出演している。

 乃木坂46の現役メンバーとしては、2022年度後期放送の『舞いあがれ!』(NHK総合)で久留美を演じていた山下美月に続く朝ドラ出演となる。遠藤の出演は、現在放送中の第24週「ツチトリモチ」を含めた残り3週ということで、全体の半年という放送期間を考えると短く思えるが、それは物語がクライマックスを迎えた時期での登場と捉えることもできる。例えば、2020年度前期放送の『エール』(NHK総合)で主人公・古山裕一(窪田正孝)と音(二階堂ふみ)の間に生まれた娘・華を演じた古川琴音が登場したのも最終盤であったが、多くの視聴者の記憶に残っているのと同時に、古川はこの出演を機に俳優として大きく飛躍していった。

 乃木坂46のファンだけでなく、朝ドラ視聴者という新たな層にも注目されつつある遠藤。はっきり言ってしまえば、遠藤はかつての山下のように出演歴を積み重ねてきたわけではない。個人としてのドラマ出演は、2022年放送の『もしも、イケメンだけの高校があったら』(テレビ朝日系)、今年7月より配信されている『トラックガール』(FOD)の2作品が挙げられる。初の地上波ドラマにしてヒロインを務めた前者では、“誰もが振り返るような美少女”という、言わばクラスの高嶺の花でありながら凛とした桜井カンナを演じた。初の主演作となった『トラックガール』では、「トラックドライバー」「お酒好き」という男勝りな鞍手じゅんを演じ、可憐で清らかなイメージの遠藤とは対極とも言える役柄だった。それは乃木坂46でセンターを務めたシングル曲「ごめんねFingers crossed」のイメージにも近く、自分の人生を前向きに生きていく姿は作品のテーマとしても、遠藤の芝居としても強く体現されている。

 今回『らんまん』で遠藤が演じている千歳は、主人公の万太郎(神木隆之介)と寿恵子(浜辺美波)の娘。のちに、万太郎の助手である虎鉄(濱田龍臣)の妻となることが明かされている。母親ゆずりのしっかり者ということは、幼少期時点からはっきりと表れていたが、遠藤が演じる千歳の初登場は、千鶴(鈴木咲)に洗濯物を取り込むようにお願いするシーンだった。まだ幼い千鶴は、万太郎が取ってきたオリヅルランに夢中。そこに千歳がやってきて、姉として千鶴に「一つのこと、最後までやってから次やりなさいって、言ってるでしょ?」と厳しくも優しく注意する。

 この第24週から物語は5年が経過している。千歳が虎鉄と一緒になるという未来を知っているからか、虎鉄が槙野家と家族のようにして接してきたこと、さらに虎鉄が千歳を見つめるまんざらでもなさそうな視線、標本や草花に囲まれた暮らしが日常として育ってきた千歳の背景が、その年月の移ろいを物語っている気がした。9月13日放送の第118話では、長屋の井戸端でささがきごぼうを作る千歳と千鶴。そこに万太郎が帰ってくると、千鶴は包丁を持ったまま父に駆け寄っていく。すかさず「千鶴、包丁置いてから」と叱る千歳。彼女が登場する2つのシーンが物語っているのは、母の寿恵子が待合茶屋「山桃」を開業したことで、現在は槙野家の家事を千歳がメインに担当しているということだ。千歳の凛々しくも芯のある部分は母と似ており、同時にこれまで遠藤が演じてきた役柄とも通ずる部分が感じられる。

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