山下美月&久保史緒里らの坂道を照らした“星”の生田絵梨花 乃木坂46、2023年の現在地

乃木坂46現役生/卒業生の2023年

 乃木坂46にとって2023年は1期生、2期生の全メンバーが卒業し、3期生、4期生、5期生のみの新体制に突入した、紛れもなく世代交代が起きた年であった。3期生からは山下美月と久保史緒里、4期生は賀喜遥香と遠藤さくら、5期生は井上和と、それぞれ各期からセンターに立つ3枚のシングルがリリースされ、その象徴として大晦日の『第74回NHK紅白歌合戦』には井上のセンター曲「おひとりさま天国」が披露され、今の乃木坂46の形が世間へと示されることとなる。

 一方で卒業生もまた新天地にて、それぞれの活躍を見せている。その筆頭として挙げられるのは生田絵梨花になるだろう。ディズニー100周年記念の映画『ウィッシュ』で、ヒロイン・アーシャの日本語版声優をオーディションで勝ち取った生田。幼い頃に「小さな世界」を歌っていた彼女が、「ディズニー・ヒロインの声優になる」という自身の“願い”を叶えた、思いの詰まりに詰まった作品だ。

生田絵梨花 - ウィッシュ~この願い~ (From 『ウィッシュ』/日本語版リリックビデオ)

 『レ・ミゼラブル』や『ロミオ&ジュリエット』でのミュージカル経験は劇中でも存分に発揮されており、クライマックスにて歌われる「ウィッシュ~この願い~」を例にして、全ての経験はこの作品に結実しているのではないかと思わせてくれる。生田にとって2年ぶりの出場となる『紅白』では、『Venue101』(NHK総合)から生まれた濱家隆一とのユニット・ハマいくとしてだけでなく、「ディズニー100周年スペシャルメドレー」の中で「ウィッシュ~この願い~」をソロ歌唱。その姿は乃木坂46のメンバーにとっても、夢を与えてくれるパフォーマンスになるはずだ。

 2023年はほかにもドラマ『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)にて、ヒロインの一人・美和子を好演。主人公・向井くん(赤楚衛二)が再会する10年前の元カノとして、第5話より本格登場し、いわゆる男女の仲へとズルズルと戻っていく。少々妄想の激しい向井の前に現れる“フワフワジュラピケ美和子”を愛らしく演じながら、大人な恋愛に溺れていく美和子としての芝居は、これまでの生田のイメージにはない新境地でもあった。

生田絵梨花が“元カノ”だからこそ? 『こっち向いてよ向井くん』のほろ苦いノスタルジー

共感できるか否かというポイントを、映画やテレビドラマの良し悪しの判断基準のひとつとしている人も少なくないだろう。特にテレビドラマ…

 少々ピンポイントになるが、第5話での「いっぱいだけコーヒーでも飲もうよ」(向井)「いいよ」(美和子)と対になる「また、来てもいい?」(向井)「いいよ」(美和子)のそれぞれの「いいよ」のイントネーションは美和子の複雑な心境を痛いほど伝えていた。向井の適当な優しさをあてにしていた美和子は、自分にとっての幸せ、新たな道を進んでいくことを決意する。

 先日の『M-1グランプリ2023 敗者復活戦』(ABCテレビ・テレビ朝日系)のMCが記憶に新しい西野七瀬は、俳優として数多くの作品に出演。中でも映画『シン・仮面ライダー』でのハチオーグとしてのアクションシーン、そして緑川ルリ子(浜辺美波)への愛憎渦巻く悪役は、既存のファンも驚く挑戦だった。

『シン・仮面ライダー』キャラクター動画(緑川ルリ子×ハチオーグ/ヒロミ編)《絶賛公開中》

 主演を務めたドラマ『ポケットに冒険をつめこんで』(テレビ東京系)では、20年ぶりに出会ったゲームを通じて、毎日が少しだけ冒険へと変わっていく赤城まどか(西野七瀬)を演じた。ドラマの原案でもある『ポケットモンスター』をプレイしている際の白い歯を見せたニカッとした笑顔は、西野の等身大のキャラクターと言ってもいい。映画『ある閉ざされた雪の山荘で』が2024年1月12日、映画『52ヘルツのクジラたち』が2024年3月1日と出演作が控えている西野。なお、1月3日には生田が出演している映画『Dr.コトー診療所』(2022年)が、2024年1月6日には西野出演の映画『イチケイのカラス』(2023年)がともにフジテレビ系にて放送される。

 白石麻衣は、『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)のチーム集結で話題の2024年1月3日放送のドラマ『侵入者たちの晩餐』(日本テレビ系)で社長の藤崎奈津美役を、2024年1月13日よりオンエアのドラマ『恋する警護24時』(テレビ朝日系)にてヒロインで弁護士の岸村里夏役を演じることが発表されている。

 白石の俳優としての2023年を振り返ると、映画『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』(Netflix)や『風間公親-教場0-』(フジテレビ系)への出演があった。前者はヒロイン・閑として、輝(赤楚衛二)のセリフを借りれば、「ミラ・ジョヴォヴィッチみてぇ」な初のアクションに挑み、後者では風間公親(木村拓哉)も認める勘の良さと観察眼を持つ新人刑事・鐘羅路子(白石麻衣)を演じた。「なんとなくですけど」が口癖の鐘羅は、スッと相手の懐に入るのが上手く、唇の動きがポイント。そんな優れた素質の持ち主が見せる動揺もまた鐘羅としての印象的な芝居だった。

 ほかにもドラマ『いちばんすきな花』(フジテレビ系)で、不器用ながらはっきりと思いを伝える潮このみがハマり役だった齋藤飛鳥は、2024年3月8日に映画『マイホームヒーロー』の公開を控えている状態。2023年はドラマ『彼女たちの犯罪』(読売テレビ・日本テレビ系)、映画『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』と2作の主演を務めた深川麻衣に、ドラマ『時をかけるな、恋人たち』(カンテレ・フジテレビ系)の伊藤万理華、2023年は『ジキル&ハイド』に2024年は『この世界の片隅に』とミュージカルでさらなる躍進を遂げている桜井玲香と、枚挙に暇がない。

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