『僕が宇宙に行った理由』が伝える“地球の美しさ” 人を動かす力に溢れる本物の記録映像

『僕が宇宙に行った理由』人を動かす記録映像

シンプルに地球が美しいということ

 繰り返しになるが本作はシンプルだ。シンプルな動機で宇宙に行った前澤に、映画を通じて観客は同行し、シンプルな地球の美しさに魅せられる。作中で前澤も言っているが、宇宙から地球を見れば地表の争いごとなど何も見えない。複雑な問題など何もないかのような静寂とひたすらに鮮やかな青が広がっている。

 平野監督は、この旅の記録を映画にした理由を、2人が地上に帰還した2カ月後に発生したロシアのウクライナ軍事侵攻だと語る(映画公式のプレスシートより)。平野監督と前澤は、ロシアで訓練し、ロシア人の宇宙飛行士と一緒に飛びたっているのだが、帰還後の悲しい現実に打ちのめされたのだという。

 地上には複雑な問題がたくさん横たわっている。この映画はそれらの諸問題とシンプルな地球の美しさを対比的に描く。そこから「世界平和」というテーマが浮かびあがってくる。

 「世界平和」というものは、言葉では使い尽くされてしまい、その単語だけで人を動かすことはほとんどできないかもしれない。しかし、この映画の地球のシンプルな美しさには、人を動かす力がある。映像ではなくては伝わらない大事なものは、やはりあるのだ。

 そのシンプルな美しさを大画面で享受すること。それ自体が世界平和を求める気持ちを育む力になると、この映画は映像で語っているのだ。

 その美しさを最大限に発揮できるのが映画館だ。だからこそ、この作品は映画館で観るべき作品なのだ。

■期間限定・高校生以下500円鑑賞キャンペーン
期間:2023年12月29日(金)〜2024年1月8日(月)
対象:高校生(18歳)以下の方
劇場:『僕が宇宙に行った理由』上映劇場 ※一部劇場を除く
キャンペーンサイト:https://whyspace-movie.jp/campaign.html

■公開情報
『僕が宇宙に行った理由』
全国公開中
出演:前澤友作、アレクサンダー・ミシュルキン、平野陽三、小木曽詢、山崎直子
監督:平野陽三
製作:SPACETODAY
制作:ON Inc
制作協力:AOI Pro.
配給:ナカチカピクチャーズ
宣伝協力:サニーサイドアップ
2023/日本/カラー/DCP/5.1ch/89分
©2023「僕が宇宙に行った理由」製作委員会
公式サイト:whyspace-movie.jp
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/whyspace_movie

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