『コタツがない家』万里江は小池栄子の魅力たっぷりだった 愛すべき“きっぷの良さ”

『コタツがない家』小池栄子のきっぷの良さ

 ドラマ始まって以来、最大のピンチである離婚危機を乗り越えた万里江(小池栄子)。だが、深掘家はまだまだ落ち着く様子もなく……!? 12月20日に、小池栄子主演ドラマ『コタツがない家』(日本テレビ系)の最終回が放送される。一件落着と思いきや、まだまだ万里江の心配は尽きることがなさそうなこのドラマ。やはり視聴者にとっての最大の魅力は、小池の圧倒的な存在感と、家庭や職場での頼もしさだろう。小池のこれまでのキャリアを振り返りつつ、本作での万里江役としての魅力を紐解いていきたい。

 グラビアをきっかけにブレイクした小池だが、その魅力は写真の世界にとどまらない。瞬く間にドラマ、バラエティとテレビ界で活躍し、多くの人から支持される存在となった。特に筆者を含む30代の視聴者にとって、『水10!ワンナイR&R』(フジテレビ系)での小池の活躍は今も忘れられないことだろう。当時流行していたドラマ『ごくせん』シリーズ(日本テレビ系)のパロディ企画「ごくSせん」でサディスティックな女教師を演じ、生徒役のゴリ(ガレッジセール)や、宮迫博之(元雨上がり決死隊)をしばき倒し、コントでも類まれない存在感を示してくれたのだ。加えて、特番や『クレイジージャーニー』(TBS系)の司会業では、番組を導く実力も見せてくれた。ドラマでのリーダーシップの強さやハキハキとした印象は、この頃の多彩なキャリアとも関係があるのだろう。

 さらに女優としては、『大奥〜華の乱〜』(フジテレビ系)、『リーガル・ハイ』シリーズ(フジテレビ系)、そして2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の北条政子役など、時代劇からお仕事ドラマまで、幅広い役を演じてきた。中には『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)でのマグダラのマリア役など、個性的な悪役の顔を見せることも。

 特に、しっかり者や強気な女性を演じることが多く、『コタツがない家』の脚本家・金子茂樹の2019年の作品である『俺の話は長い』(日本テレビ系)でも、ダメな主人公のしっかり者の姉を演じていた。小池の威勢の良さと気持ちのいい佇まいこそ、長く視聴者に愛されてきた理由であり、そんな姿は多くの作品において印象深く心に残っている。「上司にしたいと思う女性芸能人」のアンケートでは上位にランクインするなど、改めてその“きっぷの良さ”が多くの世代を牽引していることがうかがえる。小池の持つ快活なイメージがあるからこそ、嫌味のない頼れる上司として受け入れられるのだろう。

 そんな小池が好演する万里江もまた、様々な角度から魅力的な姿を見せている。本作は父・夫・息子の3人のダメ男が登場し、万里江を翻弄するという物語。当然万里江にも、娘・妻・母としての顔がある。しかも『コタツのない家』では、それぞれの表情をひとつ屋根の下で3人のダメ男家族に向けて同時に表現していかなければならない。時に息子の一言に傷つき、働かない夫に焦り、父と夫の関係にやきもきしながらも、仕事では社長として気丈に振る舞う頼もしさに、全国の多くの働く女性たちが鼓舞されたことだろう。朝になればまたバスに乗って会社に向かい、さっぱりとした表情で仕事に打ち込む。そんな万里江の姿に、たくさんの元気をもらった秋だった。

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