『ブギウギ』制作統括も感嘆した趣里×伊原六花の“せっせっせ” 秋山の相撲シーンの裏側も

『ブギウギ』CPも感嘆した“せっせっせ”

 NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。

 第7週では、スズ子が演出家・松永(新納慎也)からの引き抜き話に悩み、同志の秋山(伊原六花)はダンサー・中山(小栗基裕)からのプロポーズに揺れていた。そして第34回、スズ子は梅丸楽劇団(UGD)に残ること、秋山はプロポーズを断り大阪へ帰ることを決意。第35回では、秋山が晴れやかに東京を離れていく。

 スズ子が新曲「センチメンタル・ダイナ」を披露する場面では、帰阪する汽車の中でタップを踏む秋山と、ステージ上のスズ子を交互に映す、カットバックの演出が用いられた。制作統括の福岡利武は、その経緯をこう語る。

「台本には<スズ子が『センチメンタル・ダイナ』を熱唱している。汽車の中の秋山。>としか書かれていませんでしたが、演出の泉並(敬眞)が、舞台とシンクロしたほうが面白いんじゃないか、と。秋山が思いを馳せてタップを踏んだら、奇しくも『センチメンタル・ダイナ』のテンポと合っていく。前向きな別れとして描きたい、という思いで彼がそうしたのだと思いますし、それがうまくいって、『ブギウギ』らしい気持ちの良い別れになったのではないかなと思います」

 また「センチメンタル・ダイナ」の歌詞には、「歌を忘れた 踊りも忘れた センチメンタル ダイナ」「歌えよ ダイナ」「踊れよ ダイナ」といったワードがちりばめられており、これはスズ子自身への応援歌、ひいては秋山へのはなむけにも聴こえてくる。「作詞をする際に、宮本亞門さん演じる藤村がスズ子から何かを感じ取るシーンがありますし、曲とドラマがリンクすればいいな、という狙いもありました。あまり濃く絡めすぎるとなかなか大変になってきますので、ほどよい加減でうまく絡めることができれば、と考えていました」

 秋山が大阪に戻る前夜、東京に来た日と同じように“せっせっせ”で遊ぶスズ子たち。福岡は「“せっせっせ”はぴったりと息が合うことが大事で、それはおふたりもすごく感じていらしたので、空いた時間にずいぶんと練習されていました。歌も昔の大阪の歌詞なので、とても難しかったと思います」とし、一発撮りとなった本番を「自然と泣いて、自然と笑っていました」と振り返る。

 さらに、「『場所は違っても秋山、頑張ろうな』『スズ子さんも体に気をつけて頑張ってください』という2人の思いを“せっせっせ”で表現する、本当にすごい脚本だなと思いました」と感嘆し、「あの“せっせっせ”の場面だけで、2人が通じ合えたことが伝わってくる。そういった描き方が、足立(紳)さんの魅力ではないかなと思います」と続けた。

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