『単身花日』ドロドロとコメディの見事なバランス 重岡大毅のチャーミングな演技が光る

『単身花日』ドロドロとコメディのバランス

「桜木、お前も優しいふりした身勝手な男だ」

 片山直哉(田中樹)の言葉に、大きくうなずいてしまった『単身花日』(テレビ朝日系)第5話。たしかに、桜木舜(重岡大毅)は、物腰が柔らかくて誰とでも仲良くなれるヒーロータイプの人間だ。だから、武田花(新木優子)のことも拒まずに受け入れてあげている。

 しかし、それは優しさと言えるのだろうか。舜にとっていちばん大切なのは、東京で待つ妻子であり、花ではない。すべてを捧げる覚悟がないのに、その場しのぎで優しさを与えるのは、逆に酷な気がしてしまう。

 ただ、視聴者が舜を憎みきれないのは、重岡大毅がチャーミングな演技を見せているからだと思う。花に翻弄されているときのアワアワした表情や、妻のゆり子(高梨臨)の前で、叱られた子どものようになる愛らしさ。花が勝手に部屋に入っていても「不法侵入じゃん」とならずに、「あの鍵(で入った)のか」とすぐに納得しているのも、なんだか面白くてクスッとしてしまう。

 『単身花日』は、ドロドロした部分とコメディ要素がうまく入り混じっているからこそ、観ていて飽きない。

 第5話は、これまで以上にサスペンス要素が色濃く出ていた回だった。なかでも、いちばん驚いたのは、花の夫である武田健一の顔が、舜にそっくりだったこと。花の義理の母が持っていたウェディングフォトを見た瞬間、ゾワっとした人も多かったのではないだろうか。おそらく、重岡は舜と健一の一人二役を演じることになるのだろう。初恋の人と瓜二つの顔をした人との結婚……。なんだか、『世にも奇妙な物語』(フジテレビ系)に登場しそうなシチュエーションだ。

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