『トキコイ』第5話はれっきとしたターニングポイントに マギー&キケロまっしぐらの廻と翔

『トキコイ』第5話はターニングポイントに

 11月7日に放送された『時をかけるな、恋人たち』(カンテレ・フジテレビ系)第5話は、これまでのエピソードとは少々趣が異なる。令和の時代にやってきた未来人――それも主に23世紀からやってきたバッドトラベラーが巻き起こすトラブルに対処してきた廻(吉岡里帆)と翔(永山瑛太)だったが、今回彼らが相手をする未来人は、割と最近の30年後からやってきた、いわば近未来人。年齢は違えども、現代に同じ人物が2人存在するというパラドックスが前提として存在するではないか。

 任期終了が残すところあと1日となった廻。彼女が基地にやってくると、2053年からやってきた矢野健也(今野浩喜)という未来人が取り調べを受けていた。ゴミ捨て場に落ちていたタイムボード(おそらく時空暴走族が乗り捨てたものだろうと推察される)を拾ったという彼は、翌日に起こるバス事故で亡くなってしまった妻の美郷(安藤裕子)に一目会いたいと申し出る。しかし、あっさりと断られてしまう矢野は、代わりに妻との思い出のレストランへ行きたいと言いはじめ、翔が付き添いに名乗りを上げるのだ。

 亡くなった妻に会いたいと願う矢野の姿は、前回のエピソードの出来事を通して翔や廻が直面した「タイムトラベルとは何のためにあるのか?」という疑問符を、より現代人でも想像しやすい範疇へと落とし込む。過去に干渉することもできないし、事故を止めることもできない。けれど記憶を消されたとしても亡くなった人に会いたいし、心残りや後悔を消したい。それはまさしくH・G・ウェルズの時代から人間をタイムトラベルへと駆り立てる根源的なものといえよう。

 しかしそのテーマに充てられた明確な答えは、またしても天野(伊藤万理華)の毅然とした言葉で、なかば理想を打ち砕かれるようにして示される。「戦争や災害、事故や犯罪。それらの過去があって、わたしたちの今があるんです。歴史は決まっています。覆すことはできません」。

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