『呪術廻戦』「渋谷事変」“禪院全員集合!”が意味すること 伏黒甚爾の暴走がいま始まる

『呪術廻戦』禪院全員集合!が意味すること

 アニメ『呪術廻戦』第38話「揺蕩」で、七海建人が叫んだ「集合!」の合図。しかし、その号令は奇しくも伏黒恵、伏黒甚爾、禪院真希、禪院直毘人と4人の禪院が一堂に介するものになってしまった。

 陀艮の領域に引き込まれてしまった七海建人と禪院真希、禪院直毘人。必中効果のある「死累累湧軍」をくらい、3人ともすでに満身創痍だった。そんなところに駆けつけた、伏黒恵。陀艮の領域内で自身の領域「嵌合暗翳庭(かんごうあんえいてい)」を展開することでその必中効果を相殺することに成功した。それと同時に、陀艮には領域の押し合いをしていると思わせ、実際には中から外に出ることが難しい領域のバリアに小さな穴を開けたままにして、みんなを救出しようとしていた。

 領域の内と外がどう見えるかはアニメ第1期で真人の領域の内側に七海が、外側に虎杖がいた時に描かれており、井の頭線改札口にやってきた伏黒にとってはただの丸くて黒い球体にしか見えなかったはず。明らかにそれが何者かによる領域なのは確実だが、誰が出していて誰が囚われているのかまでわからない。そこですぐに「領域を出せる人物=敵」と考えて中にいる人を助ける思考になったのは、常に戦果でも冷静沈着に状況を分析するのが得意な伏黒だからできたことだ(彼はそうやって前の戦いでも粟坂の術式を見破っていた)。余談ではあるが以前、漏瑚の領域に巻き込まれた五条が「領域からの脱出は不可能」と虎杖悠仁に話していたが、その理由は領域の外と中では体積が違うため縁がわからなくなるからだった。だから今回、伏黒が侵入時に縁に触れてその位置を把握していたことが作戦の実行に結びついたのである。つくづく、いい仕事しかしていない。

 そして彼の目論見を瞬時に理解し、陀艮に悟られないように直毘人と真希を恵の元に呼び寄せるために「集合!」という曖昧な号令をかけた七海も、その意図を何も疑わずに無言で当たり前のように向かう直毘人と真希の判断力の素晴らしさも炸裂していた。そこには“ちゃんとした大人”や“一級呪術師”など、2人からの高い七海への信頼も窺える。まさに頭脳派チームによる作戦勝ちに持ち越せるかと思いきや……そこに登場したのは異分子、伏黒甚爾だった。

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