朝ドラ『ブギウギ』スズ子の出生とツヤの“秘密”に隠された愛 涙をこらえるキヌの切なさ
20年前、実家からも追い出されたキヌを自宅に招き入れたのがツヤ(水川あさみ)。同時期に子供を産んだ2人だったが、夫を亡くした精神的なショックからなのか。当時のキヌに子育てする気力は残っておらず、ツヤは彼女に代わってスズ子を今の今まで大事に育ててきた。「あんたが育てられると思ったらその時はすぐにこの子を返す」とツヤは年に一度、キヌにスズ子を会わせる機会を作ってくれたという。だが、ツヤはそのうち香川に戻らなくなってしまった。それはスズ子のことを実の娘のように愛するうち、やっぱり手放したくないという思いがツヤの中で芽生えたからではないだろうか。
別れ際、「うちあほやから、こんなことぐらいしか考えられん」とキヌはスズ子の手に菊三郎の形見である懐中時計を握らせる。もしも困ったことがあったら、お金に換えていいと。グッと涙をこらえてスズ子に背を向けるキヌの姿が切ない。彼女も彼女なりに娘であるスズ子への愛情はある。だからこそ、白壁の祖父母とは対照的にツヤのもとで幸せに暮らすスズ子に自ら母親であると名乗り出ることはしなかったのだろう。一方、ツヤはツヤでスズ子を失いたくない気持ちから、本当の母親がいることを打ち明けられない罪悪感を抱えているのかもしれない。今回明らかになった真実を踏まえて、これまでのツヤや梅吉のスズ子に対する振る舞いを思い返すと、彼らがいかに愛情深い人間であるか分かる。早く銭湯「はな湯」に響くスズ子たち家族の笑い声を聞きたい。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK