緒方恵美&釘宮理恵が考える、現代の友人関係 『デジモン』最新作は全ての人に響く作品に
『デジモンアドベンチャー02』のメンバーが、大人になって劇場のスクリーンに帰ってくる。10月27日公開の映画『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』は、本宮大輔や一乗寺賢といった“選ばれし子どもたち”が、パートナーのデジモンたちと大冒険を繰り広げてから10年後の世界が舞台。
東京タワーの上空に巨大なデジタマが出現して、「みんなにともだちを。世界中すべてのひとにデジモンを」というメッセージを発信し始める。そこに現れたのが、欠けたデジヴァイスを持った謎の青年・大和田ルイ。巨大なデジタマに接触しようとする彼の言葉から、“選ばれし子どもたち”が生まれた背景に、幼かった頃のルイとウッコモンという名のデジモンが関係していることが明らかになる。
本作の見どころをルイ役の緒方恵美と、ウッコモン役の釘宮理恵に聞いた。
『デジモン』初心者も楽しめる“はじまりの物語”
ーー今回の映画は、過去シリーズを観ていた人にとても響く内容であると同時に、新しく登場したルイとウッコモンの関係だけを観ても心に刺さる内容で、初めて『デジモン』に触れる人でもすんなりと入り込める作品だと感じました。
緒方恵美(以下、緒方):一番ありがたい感想です。最高の言葉をいただいてしまったので、もう今日の取材は終わってもいいんじゃないですか(笑)。
一同:(笑)。
緒方:“THE BEGINNING”ですからね。はじまりの物語ということで、初見の方にも優しいストーリー構成で、私も『デジモン』は初めてでしたが、スッと入れました。
釘宮理恵(以下、釘宮):私はこれまで、デジモン役で何作か出演させていただいているのですが、『デジモン』というシリーズにはコアなファンの方が大勢いらっしゃって、そんな愛情深いファンの方々に支えられている作品というイメージがあったので、「とにかく頑張るのでよろしくお願いします」という気持ちで参加させていただきました。
――演じるうえで難しさを感じたシーンはありましたか?
緒方:アフレコ自体は楽しくやらせていただいたんですが、ルイの過去に関わるとてもセンシティブなシーンがあって、そのシーンをどうやりましょうかと相談する場面がありました。私たちがアフレコしたときには、まだそのシーンの画が完成していなかったんです。だから、デフォルメしたタッチで表現するのか、シリアスに全部を描くのかがわからなくて、どのくらいリアルに表現するべきか、現場で田口(智久)監督に伺うところからスタートしました。
ーー田口監督からはどのような答えがあったのでしょうか?
緒方:質問したあとにしばらくシンキングタイムがあって、15分ぐらいで真剣にディスカッションしてくださり、結果「デフォルメせずにやりましょう」というお話をいただいたので、リアルに演じさせていただきました。
ーールイとウッコモンのシーンについては、お2人で事前に話し合われたのでしょうか?
緒方:話し合いというよりは、2人で掛け合いをしながら作っていった感じですね。
釘宮:どのような温度感で演じるとか、どれくらいのバランスで演じるといったことは一切話し合っていないです。それぞれが演じたいように演じました。
緒方:釘宮さんがずっとピュアピュアでいてくださって。ルイはウッコモンと出会った当初は、そのピュアな愛情に対して感謝しかなかったのですが、成長していくにつれて「何かがおかしいぞ」と気づいていくんです。無償の愛情そのものが悪い訳ではないんですが、無償の愛情だからこそ「あれ?」という違和感が、だんだんと現実に結びついていくような……。
釘宮:ウッコモンは特別な力を持っているデジモンなので、ピュアすぎるが故に徐々に不気味に感じてしまうところがあるんです。どうしても思いが通じ合わないというか、厳密に言うと通じ合わせようともしていなかったかもしれなくて、そういったところが怖さでもあるのかなと。
緒方:我々の生きる現実だって、相手に対して愛情を持って「好きだよ」と言っていても、お互いの愛情が同じ方向を向いているとは限らないですしね。