『相棒』右京&亀山が示した強い意志 season22の伏線になるであろう大人の“政治”

『相棒』右京&亀山が示した強い意志

 失踪した男性の事件の真相解明編。そんな軽い気持ちで観ていると予想外の展開の速さと深さに置いていかれてしまいそうになる。それが『相棒 season22』(テレビ朝日系)第2話だ。始まったばかりとは思えないほど、とにかく見応えがある。

 右京(水谷豊)と亀山(寺脇康文)は、美和子(鈴木砂羽)を通じて知り合った女性・阿佐子 (栗山千明)の失踪中の婚約者である牧村という男を捜していた。しかし、実はその名は偽名で、牧村は鶴見征一(市川知宏)という公安部の捜査員だったことが判明する。鶴見は3年前、自ら志願して「微笑みの楽園」という宗教団体に潜入。しかし、その後、「微笑みの楽園」側に取り込まれ、懲戒免職になったという。公安部長は、それを隠蔽していた。内閣情報調査室(内調)の室長・社(仲間由紀恵)が「微笑みの楽園」の信者に突然銃撃されたのは、その一件を掘り返そうとしたためと思われた。公安と「微笑みの楽園」をめぐる一連の出来事に、ただならぬ闇があると感じた右京と亀山は、カギを握る鶴見の捜索を続行する。すると潜入捜査員として様々な肩書きを使い分けていたと思われる鶴見に、驚くべき秘密があることが見えてくる。そしてそれが、1年前起こった個人経営のレストランでの爆弾テロ事件や信者が転落死した事件と関わってくることになる。

 権力とは魔力を持った不思議なものである。組織の中で立場が上になると責任も大きくなるがその分、権力の効力も大きくなる。それを腐敗した組織を改革するために有効に使う人もいるが、何かを意のままにできることに快感を感じてしまい、もっと上の権力を求めて組織や個人を好きなように操ってしまう人もいる。その使い方には、その人の思考や哲学が露わになるといってもいい。

 鶴見が「微笑みの楽園」に潜入したのは、団体の危険性を測るためだったが、潜入時点でテロを起こしそうな危険思想がはびこっている様子はなかった様子はなかった。だが、信者の数が多くなればどうなるかわからない。そこで鶴見は、信者の仕業に見せかけて爆破事件を起こし「団体が危険である」というイメージを世間に植え付けたのだった。でも事実が明らかになった今、情報操作を行った捜査員やそれを黙認した上司をそのままにしておくことはできない。彼らよりさらに権力のある社や衣笠(杉本哲太)は鶴見や公安部部長の御法川(田中美央)をまるで駒を切り捨てるように処分した。そしてあたかも良い方向へ組織改編をしたように見せたのである。

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