『相棒』右京＆亀山が示した強い意志　season22の伏線になるであろう大人の“政治”

　その上で、さらに「何かの時のために」と互いに貸し借りを作りあっている。狙撃され、怪我のため車いすに乗った社と衣笠が交わした「足が動かないからか、おしゃべりになったの。喋ってもいいわよね？」「退院祝いがまだでしたね」という緊張感ある駆け引きには痺れた。「何を、誰を、どうする」とはどちらも一切明言していないのだが、何をするのかが誰の目にも明らかなのだ。これが大人の“政治”というものなのだろうか。

　右京の思想の根底にあるのは、真実は組織や個人にとって都合の悪いものであっても明らかにするという正義感である。だからこそ、この件での社や衣笠をはじめとした上層部の行動は、許しがたいものがある。「真相は闇の中、はもう飽き飽きです」「あなたがおやりにならないのであれば我々でやります」という社への右京と亀山の言葉は、組織への挑戦状と捉えることができる。初回のエピソードにして、このシリーズ全体に関わる大きな伏線が張られたように思えてならない。来週からは一旦、別の話が展開されることになるが、第2話は「おもしろかった」だけでは済まされない、忘れてはならない回となるだろう。

■放送情報
『相棒 season22』
テレビ朝日系にて、毎週水曜21:00～21:54放送
出演：水谷豊、寺脇康文、森口瑤子、鈴木砂羽、川原和久、山中崇史、篠原ゆき子、山西惇、田中隆三、神保悟志、小野了、片桐竜次、杉本哲太、仲間由紀恵、石坂浩二ほか
エグゼクティブプロデューサー：桑田潔（テレビ朝日）
プロデューサー：髙野渉（テレビ朝日）、古草昌実（テレビ朝日）、西平敦郎（東映）、土田真通（東映）
脚本：輿水泰弘ほか
監督：橋本一ほか
音楽：池頼広
制作：テレビ朝日／東映
©︎テレビ朝日
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