『どうする家康』松本潤が“神の君”のまなざしに 石田三成との心苦しい決別

『どうする家康』松本潤が神の君のまなざしに

 しかし家康も覚悟はしていたはずだ。「嫌われなされ。天下を取りなされ!」という酒井忠次(大森南朋)の言葉を受け、覚悟を決めた家康は白兎から狸へと変貌を遂げていた。家康は天下人となる好機が来るのを待ち続ける。

 かつて“か弱きプリンス”だった家康も、家臣たちに支えられながら幾多もの戦を生き抜き、強き存在となった。前田利家(宅麻伸)は言う。

「多くの者にとって、今川義元のもとで育ち、信長、信玄、勝頼、秀吉と渡り合うてきた貴公は、神代の昔のオロチに見えておろう」
「貴公は、強くなり過ぎた」
「貴公は、腹をくくるしかないかもしれん」

 三成との確執が生じた時に家康が見せた、心を押し殺すような表情から、三成を気にかける気持ちは本心だったように思う。それでも家康は心に決めたのだ。戦乱の世を終わらせるために強き主君となり、人々に嫌われながらも天下を取ることを。

 物語の終わり、修羅の道を行くと腹を据えた家康の神々しいまなざしが心に残る。この先、人々からは陰で狸と蔑まれるのかもしれない。だが、あのまなざしは“神の君”と称されるにふさわしい芯の通ったものだった。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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