『パリピ孔明』向井理のお経ラップが炸裂! 孔明×KABE太人の“青春”なMCバトル

『パリピ孔明』向井理のお経ラップが炸裂!

「MCバトル、なめんなよ」

 ラッパー同士が交互に即興ラップを披露し、そのスキルを競い合うMCバトル。近年は『BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権』『フリースタイルダンジョン』といったテレビ番組の影響によるオーバーグラウンド化で急速に盛り上がりを見せているが、初見の人にはただの口喧嘩に思えるかもしれない。だが、そこには生身の人間が互いの個性とこれまで培ってきたラップのスキルを言葉に変えてぶつけ合うことで生まれるドラマがある。

 『パリピ孔明』(フジテレビ系)第4話の冒頭約15分で描かれた天才軍師・諸葛孔明(向井理)と、天才ラッパー・KABE太人(宮世琉弥)のMCバトルはまさにドラマだった。

 英子(上白石萌歌)の歌で民草の心を救い、音楽による天下泰平を志す孔明。それには強力な助っ人が必要だとして、彼は手負いの虎となったKABE太人を、自らの陣地である「BBラウンジ」に誘き出した。その目的はMCバトルでKABE太人に勝利し、味方に引き入れること。しかし、孔明はつい先日現代に転生してきたばかりで、もちろんラップ初心者だ。対してKABE太人はMCバトル選手権3連覇で、ヒップホップ界のカリスマ・赤兎馬カンフー(ELLY)に唯一黒星をつけた熟練者。そんな彼に抑揚のないお経ラップで挑む孔明は案の定、観客からブーイングを食らう。だが、徐々にバイブスをあげるとその背後に何人もの文官がいるような厚みを増し、オーディエンスは熱狂。馬超と張飛の一騎打ちさながらのMCバトルは延長戦へ突入する。

 小林(森山未來)に“三国時代のレジェンダリー論破オバケ”と紹介されたように、孔明の持ち味は舌戦に長けたその鮮やかな論理展開。三国時代にも孫権率いる呉軍の重臣たちを説き伏せ、魏軍との戦いに引きずり込んだ言葉の力で、彼は第二戦、KABE太人に無邪気にラップを楽しんでいた頃の感覚を取り戻させた。教室の隅で目立たず過ごしていた高校時代、飲み込んだ数々の言葉をぶつける手段を与えてくれた友の叫び。それに背中を押されるようにマイクを握りなおしたKABE太人は、自身の原点に帰った自由なラップで観客の心を掴む。鳴り止むことのない歓声と、ライバルの復活を目の当たりにし、口元に微笑みを浮かべる赤兎馬。“青春”音楽コメディと呼ぶに相応しい、エモーショナルなカットの数々に胸を打たれた。

 MCバトルの結果はKABE太人の勝利に終わったが、ステージに返り咲くという彼の願いを叶えた孔明は見事仲間を手に入れる。そしてついに、「サマーソニア」の出場権をかけたSNSでの10万いいね獲得に乗り出す孔明。三大レーベルの一つに所属する3人組女性ユニット「AZALEA」を出し抜く期限3日前を“Xデー”と名付け、その日までに英子のオリジナルソングを完成させることになった。

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