『ヒプノシスマイク』と『Paradox Live』が激突! アニメにおける“ラップ”を考える

アニメにおけるラップを考える

 大充実の2023年を締めくくる秋アニメが本格的にスタート。アニメファンならそれぞれに注目作があるでしょうが、全体を俯瞰して作品単位を超えたところで注目するのも一興です。

 例えば「『葬送のフリーレン』や『薬屋のひとりごと』みたいなマンガ好きにはお馴染みの原作のアニメ化が多いな」とか「TOKYO MXの日曜深夜では『MFゴースト』と『オーバーテイク!』のレースもの2作品が連続して放送されるのか」とか。今回はそんな秋アニメで同時に放送される『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- Rhyme Anima +』と『Paradox Live THE ANIMATION』という2作品の紹介から、アニメにおけるラップについて振り返ります。

違いが色濃く出そうな『ヒプマイ』と『パラライ』

 『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- Rhyme Anima +』は、2017年にスタートしたキングレコード EVIL LINE RECORDSが手がける音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」のアニメ第2弾。前作では武力による戦争が根絶され、武力ではなく人の精神に干渉する特殊なマイク「ヒプノシスマイク」で争いの勝敗が決められる世界で、各地区(ディビジョン)の代表グループがラップで領土争いするさまが描かれました。

 今回のアニメではイケブクロ、ヨコハマ、シブヤ、シンジュクの4ディビジョンに加え、2019年にデビューしたオオサカ・ディビジョン、ナゴヤ・ディビジョンのメンバーも活躍する模様。女性ファンの多い作品ですが、ぶっ飛んだ内容かつ直球の熱さもあるため男性も楽しめるはずです。

【PV】TVアニメ『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima +|2023年10月放送

 キャスト陣が歌う楽曲はかっこよさが伝わりやすい、キャッチーな日本語ラップ的なものが多い印象がある『ヒプマイ』シリーズ。ただ以前からZeebraやラッパ我リヤなど、HIPHOP畑を中心にさまざまなラッパーやトラックメイカーが楽曲制作に関わっており、少し詳しい人でもクレジットを見たら「この人も!?」と驚くはず。アニメ第2期でも楽曲面に期待です。

 一方の『Paradox Live THE ANIMATION』はエイベックスとジークレストが手を組んで2020年に始めたHIPHOPメディアミックスプロジェクト「Paradox Live」が原作。そもそもHIPHOPはラップだけでなく、DJやブレイクダンス、グラフィティ・アートなどを含めたパフォーマンスを示した言葉。特別なアクセサリーを付けることで幻影を作り出して行う「幻影ライブ」が展開するという『パラライ』のアニメでは、そうしたビジュアル面も押し出されるのかもしれません。

【メインPV】Paradox Live THE ANIMATION / 2023.10.3 ON AIR

 音楽的には本格派な印象。ジャジーな曲やウエストサイドの匂いを感じる曲もありバラエティ豊かで、『ヒプマイ』とはまた違った楽しみ方ができそうです。またこちらもキャスト陣がラップを披露していますが、愛美や井上麻里奈といった女性や、96猫や伊東歌詞太郎など本職声優以外も参加しているのが特徴です。

 アニメファン的には、近年『かげきしょうじょ!!』や『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』といった傑作を生み出すアニメスタジオ・PINE JAMが制作というのも注目ポイント。女性がメインターゲットとなる作品は珍しいだけに、どんな新境地を見せてくれるか楽しみです。

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