『パリピ孔明』まるで映画のような満足感 “本物”だった森崎ウィンのパフォーマンス

『パリピ孔明』まるで映画のような満足感

 今際の際に「次の生があるならば、戦のない平和な時代に生まれたい」と願いながら病没し、気づいたら現代に転生していた諸葛亮孔明(向井理)。『パリピ孔明』(フジテレビ系)第2話で見えてくるのは、“稀代の天才”と謳われた彼の偉大なる軍師としての矜持だ。

 三国時代に仕えていた主君・劉備(ディーン・フジオカ)と果たせなかった天下泰平という夢を、孔明はアマチュアシンガーの英子(上白石萌歌)と共に目指すこととなった。しかしながら、今世での武器は剣や弓ではない。人を傷つけるのではなく癒す英子の歌である。そんな彼女の軍師、もといマネージャーとしての孔明のプロデュース力は底知れぬ。光の速さで現代に馴染んだ彼は元の時代で得た戦術に加え、新たなテクノロジーを駆使してアーティスト“EIKO”を着実に成功へと導いていくのだった。

 そんな中、新たな刺客として登場したのが、メジャーデビューを控えた人気インディーズバンド「JET JACKET」のギターボーカル・RYO(森崎ウィン)だ。孔明がブッキングしたアートフェスにおいて、同バンドの向かいのブースでライブをすることになった英子はRYOの歌声を聴いて自信を喪失する。RYOを演じる森崎ウィンは俳優として評価される一方、歌手としても活動しており、その歌唱力の高さは多くの人が知るところ。「JET JACKET」の代表曲である『MID DAY』は森崎の力強さと甘さとがミックスされたハイトーンボイスを最大限活かしたナンバーで、劇中歌とは思えないほどのクオリティとなっている。それもそのはず、本楽曲はさかいゆうやRIP SLYME、三浦祐太朗といった名だたるアーティストの楽曲を手がけてきたKOSENが書き下ろしているのだ。光が印象的に使われたMVもそうだが、本作は音楽への気合の入れ方が半端ではない。

 一方でRYOは喉を酷使した結果、慢性的な炎症を起こしており、孔明はその事情を加味した戦術・無中生有の計で「JET JACKET」のブースに集まった観客たちをかっさらう。だが、そんな孔明を卑怯に感じてしまう人もいるだろう。前回の刺客であるミヤ(菅原小春)とは違い、RYOは英子に対して何も仕掛けてきていない。自分についてきてくれたバンドの仲間たちやファンにも素直に感謝する実直な青年だ。ライバルとはいえ、あまりにも……と思ったら、孔明はRYOにも礼を尽くす品を用意していた。それは見た目は毒々しいけれど、飲めばあら不思議。喉の不調が嘘のように消え、声優・梶裕貴ばりの良い声になれる薬だった。

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