『どうする家康』ムロツヨシが秀吉として初めて見せた“本当”の姿 茶々VS阿茶局のおなごの戦も

『どうする家康』秀吉の“本当”の姿

 第38回の見どころといえば、家康と秀吉の対峙も外せない。自分が本当は何が欲しかったのか分からなくなり暴走する秀吉に対し、家康は落ち着き払った佇まいで対応してみせる。経験を積んだ家康は「どうする」な状況に即座に対応できるようになった。秀吉を思い留まらせるため、「ここで腹を召しまする!」と行く手を阻むと「殿下のお代わりは、殿下しかおりませぬゆえ」と説き伏せた。何を、どのように言えば、どう事が動くか。家康の強いまなざしと言葉には、長年の経験からか説得力が感じられる

 茶々を手放す気がない秀吉は家康に憤り、「図に乗るなよ……。わしは太閤じゃ。その気になれば、徳川くらい潰せるぞ」と脅しをかける。一方、家康はかつての秀吉を懐かしむような眼でじっと秀吉を見つめながらこう言い返した。

「かつての底しれぬ強さがあった秀吉ならば……そんなことは口にすまい」
「目を覚ませ」
「惨めぞ、猿!」

 途中、足利義昭(古田新太)が乱入し、2人の諍いは中断されるが、義昭が残した言葉もまた秀吉の心を目覚めさせた。

「てっぺんは独りぼっちじゃ」
「信用する者を間違えてはならんのう」

 秀吉は、大勢から慕われる家康がずっと羨ましかったと胸中を打ち明ける。「わしを見捨てるなよ」と口にする秀吉は、家康と目を合わせることはなかったが、猿芝居をするでもなく、ボソリと呟くその姿こそ、本来の秀吉の姿なのかもしれない。

 とはいえ、茶々はやはり曲者だ。物語の終わり、茶々は秀吉との子供を身籠る。秀吉は茶々の思惑を理解してもなお、取り込まれてしまったのだ。茶々の思惑を知る側からすれば、茶々の人を引き込む笑顔は猿芝居のように感じられるだろうが、母の無念を晴らし、天下を取ると誓った茶々の執念は秀吉の欲を上回るということだろう。狂ったように笑う秀吉は、本当に狐につかれたようだった。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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