『ノキドア』何気ない推理合戦が“とんでもない事態”へ 松村北斗の意味深な回想シーンも
「10円玉が少なすぎる。あと5枚は必要だ」
大抵の人は、この言葉の違和感に気づかず、スルーしてしまうだろう。街中でこんなことを言っている人がいたとしても、「10円玉、見つかるといいね」なんて心のなかで応援する程度で、気にも留めないと思う。
しかし、御殿場倒理(松村北斗)と片無氷雨(西畑大吾)はちがう。とにかく謎を解くのが好きな彼らは、この短文に秘められた奇妙な点を探し出す。ただの買い物なら、50円玉でもいいはず。割り勘で余ったお金を両替したいというのなら、10円玉は必要になってくるだろう。しかし、そうすると「あと5枚“は”」の“は”が邪魔になってくる。
10円玉じゃないとできないことーー。2人が導いた答えは、“公衆電話”だった。長電話なら100円を投入するかもしれないが、短時間の通話なら10円玉を使うはず。それに、最近はテレフォンカードを持ち歩いている人も少ない。ただ、「10円玉が少なすぎる。あと5枚は必要だ」と言っていた男は、携帯電話を持っていたのに、なぜ?
「身元が隠せるから……」
穿地決(石橋静河)の一言で、何気ない推理合戦が急に“とんでもない事態”へと加速していく。『ノッキンオン・ロックドドア』(テレビ朝日系)第6話は、30分でひとつの謎を解き明かしたからこそのスピード感が印象的だった。中盤は、「これ、本当に終わる?」とハラハラしたが、最後にもうひとつの謎を浮上させるところまでを描ききったのだから、すごい。
そして、第6話はやるせなさを感じてしまう回でもあった。人の命というのは、どれも平等に尊いものだ。第1話の密室殺人事件も、第2話&第3話の衆人環視の毒殺事件も、犯人が明らかになるたび、心が苦しくなった。もう少し、立ち止まることはできなかったのか。憎い相手のために、自分の人生を犠牲にする必要はなかったのではないか……と。