『らんまん』浜辺美波の度胸と話術が人々の心を深く動かす 万太郎に映る坂本龍馬の面影
宴の後、その余韻に浸る弥之助たち。彼らの心を射止めたのは、ノジギクというよりも、どちらかと言えば寿恵子本人のようだ。当時の時代背景も相まって、その容姿も決め手ではあると思われるが、言わば逆境からのスタートであっても、プラスの力に変えてしまうような度胸と話術、さらに愛嬌が寿恵子にはある。借金取りの磯部(六平直政)から、逆に金を借りてしまったエピソードはその好例だろう。
みえを訪ね帳場にやってきた弥之助は、寿恵子の夫が植物学者であることを知る。「日本の植物を全部載せた図鑑を作る」という万太郎の果てしない夢を聞き、弥之助は高笑いしながら「花のみならず、昔の誰ぞを思い出すのう……」と嬉しそうに物思いに耽る。「懐かしい夢の礼」だと、弥之助は寿恵子のノジギクを300円で買い取ることになるが、気になるのはその「昔の誰ぞ」。きっと彼の脳裏に浮かんでいたのは、坂本龍馬。身分に優劣なく、人と人を結び、日本を一つにしようとしていた彼の思いは、ノジギク、そして万太郎とも重ね合わせられる。
『らんまん』東京編のイメージは『週刊少年ジャンプ』? 制作統括に聞く今後のポイント
東京編が始まり、万太郎(神木隆之介)と寿恵子(浜辺美波)の再会を中心に、物語が加速している連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合…
『らんまん』の冒頭には“天狗”こと坂本龍馬(ディーン・フジオカ)が登場している。制作統括の松川博敬氏はインタビューの中で、「本作の企画プレゼンの段階では、私が分かりやすく『これは学者版の坂本龍馬』であり、『同時代の土佐人で、常識にとらわれず道を切り拓いていった植物学者」と説明していました』と明かしており、この終盤の展開で姿形はなくとも、再び坂本龍馬の面影、意志が作品に映し出されるのは見事である。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK