『真夏のシンデレラ』に安心感をもたらす守という存在 夏海の母が帰ってきた“真の目的”
夏海(森七菜)と弟の海斗(大西利空)を置いて7年前に家を出て行った母親の茜(横山めぐみ)がKohalaに突然帰ってくる。たまたま店に顔を出した匠(神尾楓珠)と夏海の様子を見て子どもの頃に2人が交わしたという結婚の約束を持ち出す茜。しかし夏海には健人(間宮祥太朗)がいるのだと海斗から聞かされる。ちょうどいいタイミングでKohalaを訪れた健人は、母親との久々の再会に戸惑う夏海のことを気遣う。そんな折、茜は健人に対して自分に借金があることを告げ、いくらか手伝ってくれないかと頼むのである。
8月21日に放送された『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)は第7話。夏海や匠、宗佑(水上恒司)をはじめとした“地元”の面々と、健人たち東京の3人の男女8人を中心にした比較的狭いコミュニティだけで進行する物語に外部から新たな登場人物が現れるとなれば、一波乱が起こることは目に見えている。それこそ匠が想いを寄せていた佳奈(桜井ユキ)や、理沙(仁村紗和)の元夫の翔平(森崎ウィン)といった主要キャラクターに密接に絡んでくるポジションの登場人物でさえも少なからず物語をかき回すのだから、このドラマも終盤に差し掛かって数年ぶりに母親が帰ってくるとなれば尚更だ。
健人が東大出身であると聞いて、例によって夏海との育ちの違いから「釣り合ってない気がして」と濁す茜。ここで2人の交際に反対するというのがシンプルな流れではあるのだが、これまで“不在”であること以外の詳細が明かされていなかったキャラクターがぽっと現れる以上は他の理由があることも容易に想像がつくものだ。そこで持ち出されたのは借金があることと、健人に金の無心をすることであり、とりあえず「僕がそうすることを夏海さんは望まないと思う」とすっぱり断った健人は流石である。
その後のストーリーで春樹がいなくなったと理沙から連絡を受け、全員で江ノ島中を探し回る一連は、茜がKohalaに一人になる=レジの金をこっそり持ち出そうとする展開を生むためと、春樹が夏海に母親が戻ってきたことを聞かされ、父親を求める=理沙と宗佑が離れる展開を生むための二つの目的のためだ。もっとも、成人している夏海ですらあれだけ東京に行くことが一大イベントになるドラマなのに、まだ幼い春樹がすんなり翔平のいる東京まで行けてしまうあたりは、このドラマの距離感のバグのようなものでもはや気にするまでもない。
一方で、このドラマにおいて行く末が最も気になる組み合わせである愛梨(吉川愛)と修(萩原利久)に関しては、前回の“順番が違う”問題のもやもやが、守(白濱亜嵐)が2人の間に立つことによって解消へと導かれる。よかったよかった。これまでルールに従ってきた修が、恋愛にルールがないことに悩むところへ、“基本ルール”として「正直に自分の気持ちを伝えること」と助言する守。夏海をめぐる健人と匠の三角関係も、理沙と宗佑の関係もどう落ち着くのか見えないなかで、愛梨と修、そして守の3人は綺麗に恋愛と友情のバランスが保たれる。このドラマの安心感の源は彼ら、特に守なのだと確信できる。
■放送情報
『真夏のシンデレラ』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:森七菜、間宮祥太朗、神尾楓珠、吉川愛、萩原利久、白濱亜嵐、仁村紗和、水上恒司、大西利空、森崎ウィン、桜井ユキ(友情出演)、山口智充ほか
脚本:市東さやか
演出・監督:田中亮
プロデュース:中野利幸
音楽:末廣健一郎、MAYUKO
主題歌:緑黄色社会「サマータイムシンデレラ」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作・著作:フジテレビジョン
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