今期、もっとも観るべき作品は? 評論家が選ぶ、2023年夏ドラマ注目作ベスト5

2023年夏ドラマ注目作ベスト5

『VIVANT』

『VIVANT』©TBS

 第4位の『VIVANT』は、話題性とスケール感において、近年のテレビドラマでは特大級の挑戦だと言えるかもしれない。主人公の商社マンの乃木憂助(堺雅人)がバルカ共和国でテロ容疑者と疑われて警察に追われる壮大な逃走劇から始まり、やがて日本を守る自衛隊の影の諜報組織・別班と謎のテロ組織・テントと公安の三つ巴の戦いとなっていく展開は見応えある。乃木の正体が語られた第5話を観ていると、『スター・ウォーズ』的なスケールの大きな親子喧嘩の範疇に話が収まってしまいそうなのが心配だが、せっかくここまで大風呂敷を広げたのだから、今までの日曜劇場(TBS系日曜夜9時枠)では達成できなかった壮大な世界観を、映像の力で描ききってほしい。

『何曜日に生まれたの』

『何曜日に生まれたの』©ABCテレビ

 第5位の『何曜日に生まれたの』は、久々に野島伸司が地上波のプライムタイムで脚本を手がけるテレビドラマ。引きこもりの黒目すい(飯豊まりえ)が、売れない漫画家の父・丈治(陣内孝則)が作画を担当し、人気作家・公文竜炎(溝端淳平)が原作を手がける漫画のヒロインのモデルとなる物語。物語がピュアなラブストーリーなので、すいは同窓会に参加し、かつての友人と再会するのだが、その姿を盗聴しながら、編集者や作家があれこれツッコミを入れる様子が描かれる。

 第2話の時点では、引きこもりのすいが経験する恋愛を、周囲の大人が見守りながらツッコミを入れていく恋愛リアリティショー風のドラマとなりそうだが、脚本が野島伸司なだけに、先の展開がどうなるのか全く予想がつかない。

 チーフ演出の大塚恭司は『49』(日本テレビ系)、『高嶺の花』(日本テレビ系)、『プラトニック』(NHK BSプレミアム)といった野島ドラマを手がけてきた演出家だが、モノクロ映像を駆使した先鋭的な映像が印象に残る。The Holliesの「Bus Stop」が流れるエンドロールが素晴らしく、この映像を観るだけでも一見の価値あり。

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