『バービー』『オッペンハイマー』北米興行を再び制す 『MEG』続編はやや厳しい結果に
8月11日~13日は、北米映画興行ランキングに思わぬ順位変動が発生した週末となった。ランキングのトップを占めたのは、再び『バービー』と『Oppenheimer(原題)』。その興行的なインパクトはきわめて大きく、日本での炎上騒動を踏まえてもなお、北米メディアが「バーベンハイマー」との呼称をためらわずに使い続けるのも頷ける。
第1位の『バービー』は、公開4週目にして興行面では敵なし。週末の3日間で新たに3370万ドルを稼ぎ出し、前週比も-36.4%と堅実な動員を継続中だ。北米興収は5億2630万ドルで、まもなく『ダークナイト』(2008年)の5億3498万ドルを超える。世界累計興収は11億8390万ドルで、『アクアマン』を抜いてワーナー史上第2位となった。監督のグレタ・ガーウィグは、北米興収では女性監督史上最高、世界興収では実写映画の女性監督史上最高の記録保持者となった。
第2位には、クリストファー・ノーラン監督の最新作『Oppenheimer(原題)』が返り咲いた。先週末はジェイソン・ステイサム主演『MEG ザ・モンスターズ2』に順位を奪われたものの、この週末には1880万ドルを記録。前週比は-35.4%と『バービー』以上の水準だ。ここにきて上映館が149館追加されたところにも変わらぬ注目ぶりがうかがえる。
現在の北米興収は2億6426万ドルで、ノーラン作品として歴代第4位。ポイントは北米市場におけるIMAX上映の興行成績で、監督史上最高の7580万ドルとなっている。なお、世界累計興収は6億4902万ドル。8月15日には韓国で、8月30日には中国でも劇場公開を迎える。
混戦の中、第3位の座に就いたのは『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』。3日間の成績は1575万ドルで、初登場の第4位からランクアップとなった。前週比-43.8%と下落率をうまく抑えたこと、アニメーション映画のライバルがいないこと、作品の評価が高いことを鑑みれば、中長期的な視野でスタジオに大きな勝利をもたらす可能性も高まってきた。製作費7000万ドルに対し、すでに北米興収は7278万ドル、世界興収は9468万ドルなのだ。
『ミュータント・タートルズ』に対し、北米市場でやや厳しい結果となったのが巨大ザメ映画『MEG ザ・モンスターズ2』だ。2週目で第4位にランクダウンした最大の要因は、前週比-57.7%という粘りの弱さ。もっとも事前の予想通り、本作は海外市場で大きな人気を博しており、早くも海外興収は2億ドルを突破(中国だけで9020万ドルを記録している)。製作費1億3000万ドルに対し、世界累計興収は2億5693万ドル。世界規模で捉えれば上々のヒットと言える。
今週の初登場は、第5位のモンスター・ホラー映画『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』。邦題の通り、これまで幾度となく映画化されている“ドラキュラもの”の最新作にあたり、ブラム・ストーカーによる名作『吸血鬼ドラキュラ』より“最恐”といわれる第七章を映画化したものだ。3日間の興行収入は650万ドルと、2715館という公開規模や4500万ドルの製作費を踏まえれば苦いスタートとなった。
不振の原因とみられるのは、これがドラキュラ映画であることが推測しづらい原題『The Last Voyage of the Demeter(デメテル号最期の航海)』と、同じく映画のジャンルがわかりにくい予告編の構成。数々のホラー映画をヒットに導いてきたユニバーサルだが、“ドラキュラもの”であることを伏せるという本国の戦略はあまり奏功しなかった。