『MEG ザ・モンスターズ2』北米No.2発進 『バービー』は女性単独監督作品史上初の快挙
7月14日に始まった全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキにより、スター俳優のプロモーションが叶わない映画が増えてきた。ソニー・ピクチャーズは、『スパイダーマン』シリーズのスピンオフ映画『クレイヴン・ザ・ハンター』の北米公開を10月6日から2024年8月30日に延期することを決定。ワーナー・ブラザースも『デューン 砂の惑星 PART2』や『アクアマン』(2018年)の続編『Aquaman and the Lost Kingdom(原題)』などの公開延期を検討しているという。
先行してストライキに突入した全米脚本家組合(WGA)のストライキもあいまって、ハリウッドの映画製作は編集やVFX作業などポストプロダクションを除いて中断状態。現在のプロモーションをめぐる問題のみならず、今後の映画興行に長期的な影響が出ることは避けられない。北米で現在新たに公開されている映画は、さまざまな理由により、もはやスタジオ各社が一か八かで勝負するしかない作品なのだ。
そんな中、8月4日〜6日の北米週末興行収入ランキングは、思わぬ形でワーナーが勝利を収めた。第1位は公開3週目の『バービー』で、3日間の興収記録は5300万ドル。前週比-43%と堅実な動員を継続し、北米興収は5億ドル間近だ。また、世界興収は公開後17日目にして10億ドルの大台を突破。『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』に続き2023年公開作品として2作目、女性の単独監督作品としては史上初の快挙となった。
第2位には、同じくワーナー配給の『MEG ザ・モンスターズ2』が初登場した。おなじみジェイソン・ステイサムと巨大ザメの激闘を描いた『MEG ザ・モンスター』(2018年)をさらにスケールアップさせた続編で、北米オープニング成績は3000万ドル。前作の4540万ドルに比べると3分の2程度と渋めだが、作品の顔であるステイサムが宣伝に参加できないハンデの中では健闘した。
本作はアメリカと中国の合作とあって、中国では北米に匹敵する2600万ドルの好発進。そのほか海外76市場にて1億1200万ドルを稼ぎ出しており、世界累計興収は1億4200万ドルと上々だ。製作費は約1億3000万ドル、劇場公開だけでの黒字化も見込める初動である。前作も海外市場での受けがよかっただけに、今回も同じルートを歩むことになるだろう。
懸念があるとすれば作品への評価で、Rotten Tomatoesでは批評家スコア28%と苦い数字だ。観客スコアも73%とやや伸び悩んでいるほか、出口調査に基づくCinemaScoreも「B-」と評価の割れっぷりを示唆している。日本公開は8月25日、その出来栄えは映画館で確かめてほしい。
第3位には、クリストファー・ノーラン最新作『Oppenheimer(原題)』がランクイン。3時間の長尺&R指定というハードルの高さがありながら、3日間で2870万ドル、前週比-38.6%という粘り強さは作品への大きな支持を反映するものだ。『MEG ザ・モンスターズ2』の登場によって前週からワンランクダウンとなったが、興行の堅実さは変わらない。海外興収は5億5294万ドルと、ノーラン監督作『ダンケルク』(2017年)を抜いた。IMAX上映も変わらず人気を集めている。