『らんまん』野宮は万太郎に自身との“相似”を見た 亀田佳明が表現するやるせなさと矜持

『らんまん』亀田佳明が表現する野宮の矜持

 野宮役を演じる亀田は本作が朝ドラ初出演。劇団「文学座」の座員として、これまで数多くの舞台に出演しており、文学座公演『ガラスの動物園』、新国立劇場公演『タージマハルの衛兵』では、第54回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞している。また声優としても活躍しており、スタジオジブリ作品『コクリコ坂から』では天文部員役を務めていた。

 何を考えているのか掴みきれないポーカーフェイスで田邊教授からのオーダーに応えつつも、その中で自身のオリジナリティまでも飼い殺されまいとする静かな抵抗や、譲れないこだわりも垣間見える野宮。職業画工に徹しているからこそ、譲れないラインがきっと彼にはあるのだろう。そんな野宮から植物雑誌の万太郎の絵に寄せられた「画家の絵じゃありません。これは植物学者の絵です」という言葉は、何かを極めた“プロ(一流)”がまた別の領域の“プロ”を心から認める最高の称賛だった。

 田邊教授からも“ここまで植物を描けるのは世界で一人だ”と言わしめ、いち学者としても認められた万太郎は『日本植物志図譜 第二集』第2刊行まで漕ぎ着ける。ある意味、ステレオタイプにがちがちに絡めとられてしまっており疑心暗鬼な田邊教授が、自分を解放できる変化の兆しになることを祈るばかりだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる