『らんまん』前原瑞樹×前原滉の優しさが滲み出る 藤丸と波多野が踏み出した新たな一歩

『らんまん』前原瑞樹×前原滉の優しさ

 『らんまん』(NHK総合)第78話で、藤丸(前原瑞樹)は万太郎(神木隆之介)に相談することで胸のつかえが取れた。学者同士が激しく競い合う状況に気を病む藤丸に万太郎はこう言った。

「草花とおんなじじゃ。優しい人、楽しい人、いっぱいおる。けんど、おんなじ人は一人としておらん」

 万太郎は藤丸が分かりすぎるほどに人の痛みが分かり、競い合うことが性に合わないのは「特性」だと伝えた。そして、それが特性だと知れたからこそ、その特性に合ったやり方を探せばいいとも伝えた。万太郎の言葉は藤丸の心を軽くする。大学を辞めたいと話していた藤丸は、藤丸らしい穏やかで心優しい表情でありながらもどこかずっと苦しそうだった。けれど「弱さもよう知ったら強みになる」という万太郎の言葉に励まされた藤丸は、肩の荷が下りたように見える。大学を辞めるのではなく、休学して一度そこから離れてみる。そんな選択肢を得た藤丸にゆう(山谷花純)が言った。

「逃げるんじゃなくて、探しに行くんだね」
「逃げるのと探しに行くのって、離れるのは同じだけど大違いじゃない?」

 後日、藤丸は田邊(要潤)に休学する旨を伝える。田邊のトゲのある物言いや圧を感じさせる佇まいに思わず臆してしまいそうだが、藤丸にその様子はない。休学中に万太郎の植物採集を手伝ったり、万太郎自身を観察したりすることで「何か見つかるかもしれないので」と話す藤丸の真剣な顔つきに、気持ちを固めたことがうかがえる。藤丸はすっきりとした佇まいで部屋を出ていった。藤丸が新たな一歩を踏み出した瞬間だった。

『らんまん』藤丸の存在が物語に広がりを生む 『舞いあがれ!』に続く前原瑞樹の功績

「そこまでして新種発表とか、名付けとか競わなきゃいけないんですか」 「誰が発表してたって、花は花じゃないですか!」  『らん…

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