『転職の魔王様』は仕事に悩む全ての人に光を灯す 成田凌が転職者を護るラスボスに

『転職の魔王様』は仕事に悩む人に光を灯す

 キャリアアドバイザーに決まりきった仕事のやり方はない。そのことは、多士済々なシェパードキャリアの顔ぶれを見れば一目瞭然である。だが、来栖に関していえば、もはや個性的という言葉を通り越している。下手すれば依頼人と刺し違えるような壮絶な覚悟で、辛辣な言葉を表情一つ変えず吐き捨てる。折れた自尊感情を修復するどころか、傷口に塩を塗って放置する。絶対的強者でラスボス、上から目線で圧倒する姿はまさに魔王だ。

転職の魔王様

 孤高という言葉が似合ってしまう成田凌にとって、来栖は偏りのあるキャラクターの極北のような役である。しかし矛盾するようだが、画面を通して感じるのは威圧感とは正反対のオーラだ。静けさに包まれた眼差しの奥から発する言葉は愛想がないが、その人のことを考える言葉であり確実に相手に届く。「それがあなたの本音ですか」「あなたの正解はあなたにしかわからない」。まじりけのない真実が本物の優しさに溶けて染みわたる。カカオ90%のチョコのように。

転職の魔王様

 見たくなかった風景を見せ、一番会いたくない人のところに連れていく来栖の手法はフィクションだから成立するものだ。千晴を追い込む来栖が元上司の竹原(堀部圭亮)と違うのは、ひとえに誰の視点で見ているかによる。クライアントである企業のためとうそぶく来栖は、千晴以上に千晴のことを考えている。来栖になぜそんなことができるかはわからない。けれども一つ言えることは、天国にも地獄にもなる仕事を通じて来栖が揺るぎない何かをつかんだことだ。魔王は依頼人を護るラスボスでもあるのだ。

■放送情報
『転職の魔王様』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:成田凌、小芝風花、山口紗弥加、藤原大祐、おいでやす小田、前田公輝、井上翔太、井本彩花、石田ゆり子
原作:『転職の魔王様』『転職の魔王様2.0』額賀澪 (PHP研究所)
脚本:泉澤陽子、小峯裕之
音楽:横山克、橋口佳奈
プロデューサー:萩原崇、石田麻衣、櫻田惇平
監督:堀江貴大、丸谷俊平、保坂昭一
主題歌:milet「Living My Life」(SME Records)
OPENING SONG:LIL LEAGUE from EXILE TRIBE「Monster」(rhythm zone)
制作協力:ホリプロ
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/tenshokumao/
公式Twitter:@tenshokumao
公式Instagram:@tenshokumao

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる