『生まれ変わってもよろしく』は“生きる”ことを問う サブカップルの恋模様にも揺れ動く

目が離せない『生まれ変わってもよろしく』

 もし、前世の記憶を覚えたまま、生き続けるとしたら……。現在Netflixで配信中の『生まれ変わってもよろしく』。原作はWeb漫画で、笑いあり涙ありキュンありと、毎話展開が見逃せない。どのシーンを切り取っても映像が美しく、実力派俳優陣の演技が魅力的な本作。本コラムでは、毎週土日に1話ずつ配信され、折り返し地点を迎えた『生まれ変わってもよろしく』の見どころを紹介していきたい。

 人生19回目を生きるパン・ジウム(シン・ヘソン)は、前世を記憶したまま転生を続けていた。18回目の人生で出会ったムン・ソハ(アン・ボヒョン)に心惹かれるも、彼女は突然の交通事故でこの世を去ってしまう。どうしてもソハに会いたいジウムは、正体を隠したままなんとか彼の勤めるホテルで一緒に働くことに。ソハに猛アプローチをするジウムだったが、過去の交通事故の秘密と自身が転生を続ける理由に迫り始め……。

大きなわんこと、変な彼女

 幼い頃に愛する人を失い孤独に生きてきたソハを演じるのは、アン・ボヒョン。愛されたくて、誰かに寄りかかりたいけれど、不器用で「寂しい」「辛い」の一言が言えず目の奥に深い影が見え隠れするようなキャラクターだ。身体は大きくたくましいが、本当は甘えたくてジウムの前では子犬のような可愛さで母性をくすぐってくる。そんな“大きなわんこ感”の破壊力は凄まじく、毎話心臓を鷲掴みにされて沼落ちしてしまうはず。そして、時に一瞬で目から光を消して怒りと冷たさを全面に出し、時に穏やかな目で相手を愛でる彼は、目の魔法使いそのもの。『梨泰院クラス』『カイロス〜運命を変える1分〜』『ユミの細胞たち』『マイネーム:偽りと復讐』など数々の作品で唯一無二の存在感を放ち、全員別人に見えるよう演じ分けてしまうアン・ボヒョンの繊細な演技力の高さを改めて感じると思う。

 一方、転生を繰り返すジウムを演じるのは、シン・ヘソン。仕事ができて賢く、しっかり者だが、長い時間を孤独に生き続ける。真っ直ぐさのあまり、変わっているという印象を持たれてしまうジウムだが、そんな“変な女”を胃もたれなくコミカルさを交えながら絶妙な塩梅で演じてしまうのがシン・ヘソンの凄さを物語っている。そのほかにも、『30だけど17です』『黄金の私の人生』『哲仁王后』などの名作に出演し、難しい役柄に息を吹き込み視聴者を虜にしてしまう。劇中では、演技には見えない自然体な涙のシーンや、惚れてしまうようなカッコいいシーンなど神回が盛りだくさんで、彼女の演技に全力で拍手を送りたくなる。

 ソハの方が歳上だがジウムの方が人生の先輩で、ソハの大きな手でジウムの顔をすっぽり包み込む一方でジウムの目に見えない大きな手で彼の傷付いた心を抱き締めるという構図が伝わる2人の演技が、終始心地良い。

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