エル・ファニングが好演 『マーゴのマネートラブル』の倫理的な危うさとエンタメ的な爽快感

Apple TVで配信されたドラマシリーズ『マーゴのマネートラブル』が、先日シーズン1の全話配信を終了した。本作は、作家ルフィ・ソープによる同名小説を原作に、『アリー my Love』や『リンカーン弁護士』といった数々のヒット作を世に送り出してきたデビッド・E・ケリーがシリーズのクリエイターを務め、さらにエル・ファニングが主演に迎えられたことで、配信前から大きな注目を集めていた話題作である。
なんといっても本作において衝撃的なのは、主演のエル・ファニングが、厳しい現実に翻弄され、追い詰められていく主人公マーゴ・ミレットを過激に演じている点だろう。予期せぬ妊娠と困窮という過酷な境遇から、生活費を稼ぐために成人向けコンテンツの制作に乗り出すという役柄を、彼女は生々しくもポップに体現している。
物語の起点となるのは、エル・ファニング演じる作家志望の学生、マーゴ・ミレットが直面する理不尽な現実だ。既婚の文学教授から文章力を褒められ、才能を認められたと信じた彼女は、不倫関係の果てに予期しなかった妊娠をしてしまう。悩んだ末に子どもを産んだマーゴだったが、そこから彼女の人生のプランは一気に崩壊していく。教え子に手を出した教授が自らの社会的地位を守りきる一方で、マーゴだけが学校を去ることを余儀なくされるのだ。
マーゴが通っていた「コミュニティ・カレッジ」は、日本でいう短期大学や専門学校、あるいは夜間大学の要素を含んだ、公立の二年制大学のこと。学費の安さから、経済的に困窮している層を中心に、格差社会におけるセーフティネットの役割を担い、四年制大学への編入ステップや、実用的な職業訓練の場としても認知されている。そこからの展望が、妊娠や困窮によって途絶えてしまうのである。
学校を去った後も、マーゴの受難は続く。自らの家庭を守りたい教授は、無責任にもマーゴから逃げていく。サポートが得られない孤立無援のなかで、彼女は育児とアルバイトの両立を試みる。しかし、乳児を抱えたままでの労働には、すぐに限界が訪れる。子どものために稼がなければならないのに、子どもがいるから働くことができない。貧しいシングルマザーに対するこの残忍な“詰み”の状況が、彼女の前に立ちはだかる。
この困窮のなかで、マーゴが生き残るため選び取るのが、成人向けソーシャルサービス「OnlyFans」へのクリエイター登録という選択だ。自分の身体を晒してセクシーなコンテンツを提供することで生活費を稼ぎ出そうとする彼女は、男性視聴者から送られてくる性器の画像を、固有の能力を持つファンタジックなモンスターに見立て評価するという、奇抜なコンテンツを思いつく。消費される側の“客体”であるはずの立場が、言葉の力によって主導権を握ろうとする。持ち前の文才と表現能力が、成功への道を切り拓いていく。
このように、一人の女性が新しいプラットフォームを利用しながら、個人事業主として性産業に乗り出し、困窮を突破していく挑戦を、半ばポジティブかつ軽快に描き出している点こそが、本シリーズの際立った特徴だといえよう。女性が生活費を稼ぎ、あるいは自己実現を果たすための手段としてそうした業界で働くことを、あくまで主体的な「個人の選択」として肯定してみせるのだ。
























