『セレブリティ』パク・ギュヨンがトップセレブの仲間入り ソ・アリの死の真相は?
Netflixで韓国ドラマ『セレブリティ』の配信がスタートした。
無名の化粧品メーカーの訪問販売員として働くソ・アリ(パク・ギュヨン)が、SNSを利用してトップインフルエンサーとなり、セレブの仲間入りを果たしたものの、そこで待ち受けていたのは、ライバルセレブたちの恐ろしい蹴落とし合いだった。
Netflix公式SNSでも「どこまでも騒がしく、残酷なまでに華やかなインフルエンサーたち」と紹介されているように、けたたましい女性たちの戦いが繰り広げられていく。12話一挙配信で、SNS上では「一度観始めたら止められない」という感想が多く見られている本作を紹介しよう。(以下、ネタバレあり)
トップセレブたちの素顔を暴く
とにかくすさまじいドラマだ。金と地位に対する果てのない欲を見たそうとする女性たちが、SNSを利用し、若さを武器にのし上がっていく様に圧倒される。「トップインフルエンサーって、いったい何者?」と思っている人にとって、数々の謎が解けるドラマに仕上がっていることは間違いない。
物語の冒頭で、パク・ギュヨンが演じるソ・アリは「なぜ、インフルエンサーたちは遊んで暮らせるかって?」と問いかけているが、彼女たちは遊んで暮らしているどころか、24時間自分の時間をSNSに縛られっぱなしだ。セレブになるということは、並大抵の努力では成し遂げられないという現実をまざまざと見せつけられた。
友人同士が集まっても、スマホを触るのをやめず、夫と会話をしていてもスマホから目を離さない。彼女たちにとってはフォロワーの反応が最も大切で、DMがくれば秒単位で返信をしなければいけないのがトップインフルエンサーの宿命なのだ。
そしてフォロワーの数で、序列が決まってしまう厳しい世界でもある。自分よりフォロワーが少ないインフルエンサーは家来のように扱い、逆にフォロワーが多いインフルエンサーに対しては、おべっかを使って寄生虫のようにくっついていく。自分のフォロワーだけでなく、ライバルインフルエンサーたちの動向にも目を光らせ、隙あらば蹴落とそうと画策するのは、もはやインフルエンサーが一つのビジネスとして成り立っている証拠といえるだろう。
こうした成り上がったトップインフルエンサーたちのセレブな生活を描いていく一方で、生まれながらにしてセレブの地位にいる人たちの姿も描いている。
まずは、大手コスメティック企業の代表取締役のハン・ジュンギョン(カン・ミンヒョク)だ。アリはジュンギョンから食事に誘われ自宅へ行くことになるのだが、そこで衝撃のシーンに遭遇する。なんとジュンギョンは、靴を自分で脱ごうとせず、メイドが腰をかがめてジュンギョンのあとを追いかけ、タイミングを見計らって靴を脱がしていたのだ。
あっけにとられているアリに対し「僕はこれが当たり前だと思ってきた。僕が異論を唱えることで、仕事を失う人が出てしまう。だから何もいわないことにした」とクールな顔つきで語るミンヒョクの演技は、なかなかの見どころだ。
そしてもう一人は、国内で絶大な力を持つテガン法律事務所の代表弁護士、チン・テジョン(イ・ドンゴン)だ。とにかくこの人は「階級」という言葉をよく使う。「私たちの階級の世界を理解している人物なのか」「私たちの階級にあった女性と付き合え」など、彼の口から飛び出す言葉は、公の場で言ってしまったら間違いなくアウトとなる発言のオンパレードだ。
物語の終盤、自らの策略がうまくいかず「俺は、チン・テジョンだぞ! この俺がなんであんな連中に会わなければいけないんだ!」と激怒するところは、情けなくみっともない。
そんな個性的なセレブたちが登場する中、最初から最後までまともだったのは、テジョンの妻であるユン・シヒョン(イ・チョンア)だ。国会議員の娘で、財団の理事長を務めるシヒョンは間違いなくトップセレブだが、弱者に寄り添う常識的な感性を持った女性だ。
SNSセレブたちが集う佳賓会のメンバーではあるものの、彼女たちの行動の一つひとつに疑問を持っており、義理の妹のチン・チェヒ(ハン・ジェイン)が目に余る行動をとると、厳しく叱責する。
一般人から見ると理解に苦しむセレブたちが多く登場するが、シヒョンのように至極まともな人や、ジュンギョンのようにアリと出会ったことで変わっていく人も描くことで、「本当にトップセレブの中には、こういう人がいるのかもしれない」と思わせるリアルさがある。
死んだアリがライブ配信? ミステリー要素が好奇心を駆り立てる
そして、このドラマの面白いところは、セレブにのぼりつめた女性の物語と並行して、サスペンス要素が加わっているところだ。
物語は、アリがライブ配信でセレブたちの裏の顔を次々に暴露していく形式で進められていく。そしてそのライブ配信を見ている人たちが「ソ・アリは死んだんじゃなかったの?」と慌てるのだが、この時点で視聴者は物語の行方が気になって仕方がなくなる。「主人公のアリが死んだ? どういうことなのだ?」と。
アリは、もともとは社長令嬢で、トップインフルエンサーのオ・ミネ(チョン・ヒョソン)と高校の同級生だった。高校時代はミネがアリにくっついて、ブランド物のおさがりをもらっていたのだが、現在は立場が逆転していた。
しかし、アリは自身の境遇を卑屈に思っているわけではない。きちんとした信念を持って仕事をしているし、自分の意見をきちんと持った賢い女性なのだ。
今時の若い女性とは違ってSNSに関心を示さず、むしろ夢中になっている人の気持ちが理解できない人だった。職場の同僚で親友のユン・ジョンソン(パク・イェニ)がSNSを見ていると「なぜ知らない人の生活を見たがるの?」と疑問を呈していたほどだ。
ただフォロワーの数で階級が決まってしまう世界を垣間見てしまったアリは、理解できなかったSNSの世界へ足を踏み入れてしまう。すると瞬く間に人気が出て、あっという間にトップセレブの仲間入りを果たす。
アリは、もともと自分の意見をはっきり言うタイプで、まわりに合わせていくことをしないため敵も多かった。ミネをはじめとしたライバルセレブたちに蹴落とされ、ボロボロの状態になり、あっという間に転落してしまったアリは、自ら海に身を投げるのだ。
そんなアリを追い詰めたのは結局誰だったのか。ライブ配信をしているのは、本物のアリなのか、物語の最後まで気の抜けない展開となる。セレブたちの華やかな生活だけでなく、謎解きを絡めたストーリー展開は刺激的だ。