名作には必ず存在 敵だけど憎めないアニメキャラ5選
『鬼滅の刃』猗窩座
猗窩座は、『鬼滅の刃』に登場する「拳鬼」と呼ばれる己の体を用いて戦う体術戦や、闘気を感知する血鬼術などを用いて戦う上弦の参の鬼である。人間時代は、貧乏暮らしの中、病気の父親のためにスリで薬代を稼いでいたが、それを知り心を痛めた父親が自殺し、罪人として江戸を追放された。そんな中、武術道場を営む慶蔵に拾われ、その娘の恋雪と恋仲になり、恋雪を守るため誰よりも強くなる決意。しかし、隣接する剣術道場の嫌がらせで井戸に毒を入れられ慶蔵と恋雪が死亡。自暴自棄になっていたところを鬼舞辻無惨に見出され、鬼化された。
猗窩座の魅力は、“強さ”に異常なこだわりを持ち、ひたすらに己の強さを追い求める姿勢にあるように思う。そして、弱者を徹底的に蔑視するが、強者に対しては敬意を払い、「鬼になれば百年、二百年鍛錬ができる」と鬼に勧誘したりすることからは、彼が根っからの武人であることが分かる。また、圧倒的な強さの中に、女性には一切手を出さないという信念を持っており、最後までその信念を貫いているところは、至高の領域に達していると言えるだろう。
『呪術廻戦』真人
真人は、呪術師の闘いを描いた『呪術廻戦』に登場する人の負の感情から生まれた特級呪霊。身体中継ぎ接ぎだらけではあるが、整った顔立ちをした青年のような姿をしている。そして、「無為転変」という魂に直接触れることができる術式を持っており、その術式を使って多くの改造人間を生み出してきた。
真人の魅力は、極悪非道な行為をしていながらも、欲望に素直な子供のような性格をしているところにある。作中では、呪術師に対してもフレンドリーに話しかける様子が描かれている。また、「軸がブレようと一貫性がなかろうと 偽り無く欲求の赴くままに行動する」という作中のセリフからは、自分の行為に信念を持って行動していることが読み取れる。この信念を持った行動が、彼が悪役であるにもかかわらず、視聴者に共感を抱かせる要因になっているように感じる。
敵キャラクターは、単なる悪役としてだけではなく、彼ら自身の背景や、その人間らしさが描かれることで、時に彼らの行動や言葉に共感を覚えることがある。その結果、作品の視点が豊かになり、敵として描かれながらも、憎めない存在として心に残るのかもしれない。