『だが、情熱はある』の“情熱”は何だったのか 視聴者に蒔かれた“幸福”を掴むための種

 『たりないふたり』に強い感銘を受け、活路を見出したHIPHOPユニット、クリー・ピーナッツ(加賀翔・賀屋壮也/Creepy Nutsがモデル)のエピソードもまた、美しい。山里と若林が「こんなもの、伝わるんだろうか」と、もがきながらも続けてきた漫才。その芸から彼らは、「たりなくてもいいんだ」「俺たちの『このまま』を音楽にすればいいんだ」と“啓示”を受け、自分たちだけのスタイルを見つける。同名ミニアルバム『たりないふたり』をリリースし、クリー・ピーナッツの快進撃がはじまる。

だが、情熱はある

 先の見えないまま、それでも「何か」を求めて、もがいて、進み続けた者の足跡が、同じようにもがいている人たちの「灯り」となる。こうした題材を優れたエンターテインメントに仕上げ、毎週日曜日の夜に届けてくれた制作陣に拍手を送りたい。

 「肥大化した自意識の塊」「社会不適合者」を自認する山里と若林が、這いつくばりながら追求し、発信し続けた「芸」。それが、本人たちも知らないうちに種となって、ちゃんとどこかの土に蒔かれ、誰かに伝わって、つながっている。『たりないふたり』解散ライブで若林はそれを、「生まれてきた意味を掴み取るような、そんな素晴らしいこと」と言い表した。そしてその種は、ドラマを観終えた我々のもとにも、蒔かれたのだ。

■配信情報
日曜ドラマ『だが、情熱はある』
TVer、Huluにて配信中
出演:髙橋海人(King & Prince)、森本慎太郎(SixTONES)、戸塚純貴、富田望生、三宅弘城、池津祥子、ヒコロヒー、渋谷凪咲(NMB48)、中田青渚、箭内夢菜、森本晋太郎(トンツカタン)、加賀翔(かが屋)、賀屋壮也(かが屋)、藤井隆、坂井真紀、白石加代子、光石研、薬師丸ひろ子
脚本:今井太郎
演出:狩山俊輔、伊藤彰記
プロデューサー:河野英裕、長田宙、阿利極
チーフプロデューサー:石尾純
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/daga-jyounetsu/
公式Twitter:@daga_jyounetsu

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる