『【推しの子】』やブシロード作品も頑張った! アニメ“3話切り”回避の歴史と今後
アニメの物語が一番輝く形態を
ほかにも3話切りを回避するための手段は講じられてきました。『BanG Dream!』や『D4DJ』といったブシロードが深く関わる作品は、クールの始まりから3週間ほど遅れて始まることが多かったですが、同社の木谷高明会長によるとこれは3話(3週目)時点で切る人がいるからその後に初回を持っていこうという考えからだそう。そこには「15作品を見ている状態に1作品を足すのは難しいですが、5作品になったところで1作品を足すのは可能なのではないか」という膝を打つような戦略眼がありました。(※)
Netflix系の作品などの全話一挙配信(や次のエピソードの自動再生機能)もその一種と捉えられるかもしれません。TVアニメのように1週間待たずにすぐに続きを観られるため、先が気になる作品を次々に観られる、つまり序盤での離脱を防げる側面もありそうです。
ちなみに第3話ではなく第4話を先に放送することで3話切りを0人にするという仰天の荒業を見せた『でびどる!』もありました。ただしこれはスタッフの手違いが原因のため、怪我の功名と言っていいでしょう。
3話切りを考えていた方!
残念だったな…お前は既に4話を観ているッ!!…え~スイマセン…スタッフがやらかしちゃいまして~…
予告は第3話「ブランチレポーター」だったのですが、
本日の放送は第4話「行くぜ強盗少女」となります。
来週が第3話です…gdgdです。#でびどる #devidol #実況 pic.twitter.com/BxLiIKHD0H— TVアニメ「でびどる!」 (@AnimeDevidol) October 18, 2018
このように、多くのアニメが生み出されるこの素晴らしい時代に、シリーズアニメの視聴を続けてもらおうといろいろな工夫が行われています。ただアニメの原作となることが多いマンガ界では、『【推しの子】』に限らず、第1話、そして単行本の区切りを考えて読者の興味を引く展開にするのは今や常識となっている感があります(近年だと荒川弘先生の『黄泉のツガイ』なんかもよかったですよね)。
現代はショートアニメも含めて尺が多様化し、動画配信というスタイルもすっかり普及しました。せっかく『【推しの子】』という大成功例が生まれた今、アニメも「30分枠で毎週放送」というベーシックなフォーマットに囚われ過ぎることなく、物語に一番合った放送形態やシリーズ構成が柔軟に模索されることを期待したいところです。ひとまずは夏クールの初陣を飾り、6月29日の初回で第1〜3話を一挙に放送する『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』がどんなスタートダッシュを見せてくれるか、注目してみましょう。
参照
※ https://gamebiz.jp/news/279467