『らんまん』あいみょんが歌う「愛の花」はどの瞬間にも調和する 「蛍の光」との共通点も

『らんまん』どの瞬間にも調和する「愛の花」

 朝ドラの主題歌というものは不思議だ。約半年の放送で同じメロディが流れ続ける。しかもまだ撮影が終わっていない、ともすれば全ての展開が明らかになっていない初期の段階で制作されているだろうにもかかわらず、どの瞬間にも調和する楽曲が多い。そのことを現在放送されている朝ドラ『らんまん』(NHK総合)の主題歌でひしひしと痛感している。

 作詞作曲と歌を担当するのは、シンガーソングライターのあいみょんだ。彼女が作るジャンルレスな楽曲を僭越ながら一言で表すとしたら、ネオノスタルジック。懐かしさと新しさがちょうどいい塩梅にブレンドされており、誰がどのタイミングで聴いても心の琴線に触れられる。

(左から)槙野万太郎役・神木隆之介、西村寿恵子役・浜辺美波、井上竹雄役・志尊淳
(左から)槙野万太郎役・神木隆之介、西村寿恵子役・浜辺美波、井上竹雄役・志尊淳

 本作の主題歌である「愛の花」もそうだ。あいみょん初となる3拍子のこの曲は軽快でありながら哀愁を漂わせ、どこか日本では閉店ソングとしてお馴染みの「別れのワルツ」を彷彿とさせる。「別れのワルツ」といえば、ルーツを一にする兄弟曲「蛍の光」が存在するが、その歌詞と「愛の花」で歌われていることがところどころ重なる部分があるのだ。

 特に「蛍の光」の二番で登場する、〈互に思ふ 千万の 心の端を 一言に 幸くと許り 歌ふなり〉という歌詞。これは、お互いに無数の想いがあるけれどただ一言「幸せであれ」と歌う、という意味だ。「愛の花」でいえば、まさに〈言葉足らずの愛を貴方へ〉だろう。別れを惜しみながらも精一杯の祈りを込めて大切な人を送り出す情景が、どちらの曲からも見えてくる。

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