『ザ・フラッシュ』押さえておくべき4つのポイント マルチバースを活かしたサプライズ満載

『ザ・フラッシュ』4つのポイント

 こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします! 今日は話題のDC映画超大作『ザ・フラッシュ』の見どころ解説です。

DC映画に詳しくなくても楽しめる

 まず本作はDC(バットマンやワンダーウーマンなどのアメコミブランド)好きにとってたまらない作品になっています。特にマルチバース設定を使って過去のDC映画やドラマについて言及されるので、「わ、このネタ、ぶっこみます!?」的なサプライズがいっぱい。DCファンにとってお祭り映画です。例えて言うならスパイダーマン好きにとっての『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』的作品と言っても過言ではないでしょう。

 なのでDC映画などの知識があった方がより楽しめるのですが、もしDCに詳しくなくても十分エンジョイできるかと思います。多少元ネタや設定がわからなかったとしても、とにかくアクションとユーモアで飽きさせないんです。話のテンポもよい。スーパースピードの赤いフラッシュ(愛すべき若僧ヒーロー)、スーパーメカを操る黒いバットマン(渋いイケオジヒーロー)、スーパーパワーをもつ青いスーパーガール(凛々しい女性ヒーロー)の活躍は、彼らのことを知らなくても観ていて気持ちがいいはず。彼らの良さを活かした見せ場がきちんと用意されています。

 そしてアクションがすごく観やすいんですね。臨場感を出すために、何が起こっているかよくわからないけど、なんだかすごいみたいな撮り方(見せ方)をするアクション映画もありますが、本作は複数のヒーローが入り乱れて戦っていても、だれがどこでなにをしているかちゃんとわかる(笑)。これは本作の監督であるアンディ・ムスキエティがホラー映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』シリーズで名を馳せた人だからかもしれません。あの2作も怖いところをちゃんとわかりやすく見せてくれましたよね。

 ホラーといえば、主人公のフラッシュが時空を超えて過去にタイムトラベルするというのが本作の肝なのですが、この時空の描写がSFというよりはダークファンタジーっぽいんです。このあたり監督のセンスかな。さらにフラッシュはバリー・アレンという若者がその正体なのですが、このバリーが若さ故にまき起こすドタバタが楽しい。繰り返しになりますが多少ストーリーがわからなくても、すごいアクション映画を観たなという気持ちにさせてくれます。

最低限これだけ押さえておけば大丈夫

 とはいえ多少予備知識を仕込んでから本作を楽しみたい、という人のために押さえておくべき4つのポイントを説明しましょう。

1. 本作の主人公フラッシュことバリー・アレンは、超高速で動くことのできるヒーロー。しかしこの世界には彼の他にもスーパーヒーローがいます。クリプトン星から来た超人スーパーマン(本名カル=エル、地球人名クラーク・ケント)、ハイテクメカを使って犯罪者と戦うバットマン(その正体はブルース・ウェイン)、神の血を引く女戦士ワンダーウーマン(本名はダイアナ)、海の王アクアマン(本名はアーサー・カリー)、テクノロジー人間サイボーグ(その正体はビクター・ストーン)たちです。彼らは一度、ジャスティス・リーグというチームを結成して邪悪なエイリアンから地球を守った戦友同士でもあるのです。

2. ヒーロー同士が知り合う前=ジャスティス・リーグが結成される前、地球は未曽有の危機に襲われたことがあります。スーパーマンと同じクリプトン星出身のゾッド将軍が地球に魔の手を伸ばします。実はクリプトン星はすでに滅びており、ゾッド将軍は地球環境をクリプトン星のそれに改造、またスーパーマンの中に眠るクリプトン星人の遺伝子情報を取り出して、クリプトン星そのものを復活させようとしたのです。この企みはスーパーマンによって粉砕されました。そしてこの事件により人々はスーパーマンというヒーローがこの世界にいることを知ります。

3. この宇宙にはマルチバースというものが存在します。一昔前はパラレルワールドという言い方がポピュラーでした。例えば関ヶ原の合戦で豊臣側が勝ち、豊臣幕府がずっと日本を統治しているみたいな世界が別次元に存在する、ということです。またこうした世界はタイムトラベルして過去を変えることで生まれる場合もあります。

4. 今回の『ザ・フラッシュ』はこの1、2が前提となっている世界に住むバリーが、タイムトラベルして過去を変えたため、マルチバース現象が起こり、「自分の知っているヒーロー仲間がいない世界(バットマンも自分が知っているバットマンとは別人だし、スーパーマンの代わりにスーパーガールがいる世界)」でありながら、「彼が元居た世界と同様にゾッド将軍の地球侵略事件だけは起こる世界」に放り込まれる、というわけです。なんとなく、これだけ頭に入れておけば、だいたいのストーリーはつかめるかと思います。

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