『リトル・マーメイド』貫禄の1位も勢いはなし 今週末のスクリーンの奪い合いはどうなる?

『リトル・マーメイド』貫禄の1位も勢いなし

 先週末の動員ランキングは、ディズニーの『リトル・マーメイド』がオープニング3日間で動員46万1000人、興収7億1200万円を記録して初登場1位となった。2位の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は興収4億3200万円、3位の『怪物』は興収2億6900万円なので、とりあえず公開初週は危なげなくトップに立ったということになる。

 劇場で公開されるディズニー・クラシックの実写化作品という括りでいうと、『リトル・マーメイド』は2019年の『アラジン』以来、4年ぶりの作品ということになる(同じ2019年に公開された『ライオン・キング』はフルCG作品なのでここでは除外する)。その『アラジン』のオープニング3日間との興収比では、今回の『リトル・マーメイド』は約50%。この結果をどう捉えるかは意見が分かれるところだろうが、コロナ禍以降のディズニー配給作品の成績の低調ぶりを追ってきた立場から言うと、これでもかなり健闘した方だと捉えている。

 問題は、ディズニー作品が得意としてきた楽曲の力も借りて、最終興収121.6億円まで伸びた『アラジン』のようなロングヒットになるかどうかということ。これについては、約半分のオープニング成績をそのままスライドさせて興収60億円程度、というわけにはいかなそうだ。ディズニープラスでの配信が予定されているのでロングヒット自体が成立しない、というのもその理由ではあるが、それ以前に初週のウィークデイに入ってからの成績の段階で、これまでのディズニーの大ヒット作品のような持続力が感じられないのだ。

 今週末、ソニーからはマーベルの『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』、ワーナーからはDCの『ザ・フラッシュ』が公開される。コロナ禍前の一時期は日本でもようやく上昇傾向にあったスーパーヒーロー映画の興行も、MCU作品に限らず近年は停滞気味の作品内容もあいまって伸び悩み傾向にある。しかし、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』と『ザ・フラッシュ』の両作は久々に批評家や同業者たちから絶賛で迎えられていて、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』にいたっては、北米で『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を超えて本年度ナンバーワンの初日成績を叩き出した。

 今週末から日本全国のスクリーン、特にIMAXをはじめとするラージフォーマットのスクリーンは、公開2週目の『リトル・マーメイド』と、公開初週の『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』と『ザ・フラッシュ』の3作品での奪い合いとなるわけだが、勢いのない『リトル・マーメイド』に、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』と『ザ・フラッシュ』の興行が足を引っぱられなければいいのだが……。

■公開情報
『リトル・マーメイド』
全国公開中
監督:ロブ・マーシャル
音楽:アラン・メンケン、リン=マニュエル・ミランダ
出演:ハリー・ベイリー、メリッサ・マッカーシー、ジョナ・ハウアー=キング、ハビエル・バルデム
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題:The Little Mermaid
©2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

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