『らんまん』冒険者として愛を誓った寿恵子と万太郎 一瞬たりとも聞き逃せない金言の数々
「心のままに」というクララ先生(アナンダ・ジェイコブズ)の教えに従い、万太郎(神木隆之介)の胸に飛び込んだ寿恵子(浜辺美波)。週が明け、二人が愛を伝え合った『らんまん』(NHK総合)第56話は、一瞬たりとも聞き逃せない金言のオンパレードとなった。
初めて万太郎の長屋暮らしを目の当たりにした寿恵子は、そこで彼がこれから成し遂げようとするものの大きさを実感する。知識ゼロの状態から石版印刷の技術を学び、万太郎が完成させた日本初の植物学雑誌。しかし、それはまだ夢の入り口に過ぎない。彼が進むのは、日本中の植物を明らかにし、図鑑を作るという途方もなく果てしない道のりだ。
そのためには誰もやらないような地道な努力とお金が必要であること。ひいては、自分と一緒になっても決して楽な暮らしはさせてあげられないことを万太郎は包み隠さず寿恵子に伝える。馬鹿正直と言ってしまえばそれまでだが、植物図鑑づくりに全人生をかけると決めた以上、現時点で分かっている困難や障害を相手に明かすことは万太郎にできる最大限の誠意だった。
だけど、万太郎は寿恵子に「そんなわしを支えてほしい」とは言わない。「花が日ざしを待つように、水を欲しがるように、わしという命にはあなたが必要ながです」と、どれだけ寿恵子の存在が自分の糧になっているかを熱く語る。寿恵子がずっと待っていたのはきっとその言葉だろう。万太郎が白梅堂に姿を現さなくなってから、寿恵子は彼の人生に自分は必要ないのではないかと思い続けていた。
そんなふうに孤独を抱えながら、ただ家で帰りを待つだけの人生を送るのは彼女の本意ではない。寿恵子がなりたいのは冒険者が進む道に生い茂る草むらではない、冒険者自身だ。彼女は万太郎と共に歩む未来を想像する。その目の前には、心震える金色の道が広がっていた。