『それパク』凸凹コンビが見せた美しいラスト 重岡大毅が芳根京子に素直になれた瞬間
『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系)が6月14日に最終回を迎えた。約3カ月の放送を締めくくる最終回当日は、『ZIP!』(日本テレビ系)を皮切りとして主演の芳根京子と重岡大毅が朝から電波ジャック。さらにオンエア直前には各SNSから、ライブ配信が行われた。重岡は放送の10分前頃にギリギリ到着。気を遣うことのない自由な、劇中とはまた違った仲良しコンビとしてほんわかとした空気を作りながら、重岡は最後に芳根へ主演として最終回の見どころを話すよう促していた。
この最終回で描かれるのは、月夜野ドリンクがハッピースマイルから、汗と涙の結晶である新商品「カメレオンティー」の特許を取り返すラストバトル。五木(渡辺大知)が恋人を守りたいという間違った優しさから、ハッピースマイルの篠山(秋元真夏)にカメレオンティーの情報を漏洩させてしまったことによる事件であるが、面白いのはこれまでと比べて芳根と重岡の共演シーンが極端に少ないこと。芳根はそこが最終回のポイントだと話していた。
それは北脇(重岡大毅)が月夜野への出向を解かれ、親会社へと戻ったからではあるのだが、物理的な距離が離れたからこそ、くっきりと浮かび上がってくる信頼関係はある。亜季(芳根京子)と北脇は、相も変わらず凸凹コンビだ。面と向かって正直な思いを伝えられない、あまのじゃくな2人。それでも北脇は亜季から気づきや刺激をもらい、出会えたことが嬉しかったと、そして亜季もまた北脇が冷徹なだけでなく本当はいい人であると感謝していた。だがその思いはお互いに直接言えるはずもなく。北脇が亜季に宛てた手紙に書かれた、文末の「そして、僕も救われた。ありがとう。」は、北脇が亜季にやっと素直になれた瞬間だったとも言える。ただそれは北脇の中でもう亜季に会うこともないと感じていたからこその感謝の手紙であったとも取れる。北脇としては、もう一度月夜野に出向になるとは思っていなかったのかもしれない(率先して出向したとも取れるが)。
再び月夜野に戻ってきた北脇。熊井(野間口徹)念願の釜飯パーティーに北脇も上機嫌だ。本作のラストを締めくくるベンチでの亜季と北脇のツーショット。細かく見ていくと、「(座れよ)」と言わんばかりに北脇が横にずれて亜季の座るスペースを作ったり、カメレオンティーを飲むタイミングが2人一緒だったりと愛しいポイントがギュッと詰まったシーンだ。先述したように共演シーンが少ないからこそ、より2人でいることが際立つ部分でもあり、ぽろぽろと大粒の涙を流すことが多かった亜季の子猫のような弾ける笑顔が印象的なラストでもある。亜季への屁理屈と少しの本音を滲ませながら、北脇は釜飯の味を思い出して「たわわわん」と表現する。亜季が「むつ君」のイラストを見せながら、「それってパクリじゃないですか?」と告げる幕の閉じ方は美しいラストであり、「凸凹コンビ」と一言では形容できない亜季と北脇の関係性は、このドラマが築き上げてきた目に見えない価値だ。
■配信情報
『それってパクリじゃないですか?』
TVer、Huluにて配信中
出演:芳根京子、重岡大毅(ジャニーズWEST)、常盤貴子、渡辺大知、福地桃子、朝倉あき、豊田裕大、諏訪雅、高橋努、相島一之、赤井英和、野間口徹、ともさかりえ、田辺誠一
原作:奥乃桜子『それってパクリじゃないですか? 〜新米知的財産部員のお仕事〜』(集英社オレンジ文庫刊)
脚本:丑尾健太郎
演出:中島悟ほか
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:枝見洋子、森雅弘、岡宅真由美(アバンズゲート)
制作協力:AX-ON、アバンズゲート
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
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