『Dr.チョコレート』医療チームに訪れた解散の危機 “お笑い”が芸人を志した本当の理由

『Dr.チョコレート』チームに訪れた危機

 チョコレートカンパニーの面々がオペをしたDOUZOの配送センターが爆破される。北澤(眞島秀和)から連絡を受けた野田(坂口健太郎)は、爆破の実行犯と思しき堤(佐野弘樹)が意識不明の状態で運び込まれたことを知り、オペを決断する。野田にとっては医師時代の同期であり、“め組”の一員でもある堤。2年前の事件の真相につながる重要人物をこのまま死なせるわけにはいかないと、野田は自らが依頼人となってカンパニーの仲間たちに協力を申し出るのだが、お笑い(前田旺志郎)は「テロリストを助ける」ことに拒否反応を示すのである。

 6月10日に放送された『Dr.チョコレート』(日本テレビ系)は第8話。今回描かれる、“悪”であると判別できるペイシェントをあえて生かすという選択には、どうしてもデジャブを感じずにいられない。第1話でペイシェントとなった政治家が、オペの最中に2年前の事件を依頼した黒幕であると聞かされながらも、唯(白山乃愛)は助けることを選択した。後々になって“め組”の存在が浮き彫りになってきたことで、その人物が黒幕であった可能性はゼロに等しいものとなっているわけだが、「命はひとつ、誰にも平等にね」という唯の決め台詞の重みを再び裏付けるシチュエーションであることは変わらない。

 お笑いが拒否反応を示した理由は、唯の問いかけに対して彼自身の口から語られる。高校時代に、恋人の澪(畑芽育)とのデート中に無差別殺傷事件に遭遇していた過去があり、命に別状はなかったものの、澪はそれを境に“笑うこと”を忘れてしまったのだという。彼女を再び笑わせるために、お笑い――すなわち落合瞬は芸人を志す。第3話の終盤で、相方に話していた「笑わせたい人がいるんだ」という言葉の意味がようやく明らかになったのである。

 もっともその第3話も、ある意味ではお笑いにフォーカスされたエピソードではあった。それでも第4話以降でカンパニーの面々のバックグラウンドが順を追って描かれてきたなかで、今回改めてお笑いの番がやってくる。終盤で彼が澪のもとを訪ねて想いを告げる一連は、お笑いのバックグラウンドを補強すると同時に、野田と唯、奥泉(西野七瀬)の関係に垣間見える、“支える/支え合う”というテーマともリンクしているといえよう。

 そうしたなかで今回、野田と奥泉の関係には極めて大きな浮き沈みが生じる。野田の過去について、「新聞記者としてじゃなく1人の女として知りたい」と語る奥泉。チョコレートカンパニーのアジトでオペの現場も目撃する奥泉は、「もうDr.チョコレートを記事にしない」と約束を交わし、いい感じのロマンス展開が訪れたと思ったのも束の間、あっさりとその約束を反故にする。そのせいでチョコレートカンパニーに解散の危機が訪れる。さらに“め組”の件で奥泉に協力を申し出てきた与田(平子祐希)に託したはずの堤ではなく、別の人物が爆破事件の犯人として逮捕されたとなれば、一気に物語は複雑な様相を呈してきた。

■放送情報
『Dr.チョコレート』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:坂口健太郎、白山乃愛、西野七瀬、葵わかな、鈴木紗理奈、前田旺志郎、古川雄大、小澤征悦、斉藤由貴ほか
企画・原案:秋元康
脚本:渡辺雄介
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:藤森真実、岩崎広樹、本多繁勝
演出:佐久間紀佳、南雲聖一、宮下直之
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/dr-chocolate/
公式Twitter:@drchocolate_ntv
公式Instagram:@drchocolate_ntv

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