『Dr.チョコレート』は『レオン』な展開に? 坂口健太郎の魅力が凝縮された役になる予感

坂口健太郎はもはや“父性”を感じさせる

 坂口健太郎主演の新土曜ドラマ『Dr.チョコレート』(日本テレビ系)が4月22日よりスタートする。利き腕を失った元医者で、10歳の天才少女・Dr.チョコレートこと寺島唯(白山乃愛)の代理人となる、謎多き人物を演じる坂口。彼が得意とするクールな役でありつつ、10歳の少女とタッグを組むという前代未聞といえる設定でも注目が集まる。

 坂口がいつも演じている役のイメージといえば、やはり“人に寄り添える優しさを持つ好青年”だろう。さらに塩顔男子人気の火付け役ともいえる存在だが、塩対応の役もよく似合う。また、気難しい役、人見知りの役、世間を冷めた目で見るような役なども演じている。しかしどの役であっても、心の底には温もりがあり、実はいい人という場合が多い。物語が進むにつれて周りの登場人物たちに心を開く姿を見ていくうちに、どの役も愛おしくなる。

 こうした印象を与えるのは、彼が持つ独特の空気感が理由だ。例えるなら、スピッツの「ロビンソン」のような美しい旋律にのせて生と死を感じさせる詩を歌う、そんな浮遊感をまとっている。現在公開中の映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』もまさにそれで、存在しないはずの「誰かの想い」が見えるという不思議な力を持つ青年を演じているが、全く違和感がないのである。

 俳優デビューしてしばらくは、自信のなさであったり、どこか冷めた、当時の“現代っ子”を象徴するようなキャラを数多く演じていた。ドラマ『模倣犯』(テレビ東京系)のように、心の読めないサイコな犯人役も演じる一方、『コウノドリ』シリーズ(TBS系)での新生児科の医師・白川役や、16年の『重版出来!』(TBS系)での、希望した部署に配属されず覇気がない営業部社員の小泉純役など、経験を積むことで心に寄り添える人に成長する、という役が多かったように思う。

 それがキャリアを重ねていくうちに、世の中の酸いも甘いも知った、達観したような雰囲気を纏う冷静沈着な人のイメージが生まれた。淡々としているが、安心感であったり、頼れる存在感を築いていく。そうしたイメージが、数多くの医師役に配役される理由かもしれない。

 その代表すべき作品が、NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』での菅波先生役だろう。東京の大学病院に勤める医師だが、指導医の誘いで田舎の「よねま診療所」に隔週で通い、地域医療をこなしている。性格は屁理屈で現実を冷めた目線で見るリアリスト。そしてサメを愛するオタク気質だ。

 そこで百音(清原果耶)と出会う。論理的ではない百音に対して常にドライで無愛想だが、百音の人柄に好意を抱き、百音が気象予報士を目指し勉強を始めると、家庭教師のようにサポートする。菅波も百音を理解しようと一生懸命に行動し、次第に2人の距離は縮まり恋愛に発展。

坂口健太郎はいかにして“俺たちの菅波”になったのか 役者人生7年にして築いた個性

現在放送されているNHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』を象徴するキーワードといえば、やはり定期的にSNSのトレンド入りを果たす…

 また菅波が診療所に専念することになり、東京の百音とは遠距離恋愛になるのだが、その悩みを打ち明けた時「あなたの痛みは、僕にはわかりません。でも、わかりたいと思っています」という言い回しからも伝わる、不器用だけど独特のやさしさ。百音が苦しい時に、菅波に電話した時のストレートな言葉を投げかける変わらぬ姿と、「がんばれ」と励ますたった4文字の言葉がどれだけ安心感をもたらしたか。これは不器用ながらも誠実な姿勢を見せる菅波の人柄が築き上げたもので、坂口の持つ雰囲気と見事に重なったからこそ。「#俺たちの菅波」という言葉が毎回トレンド入りするほどの人気キャラとなった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる