『王様に捧ぐ薬指』山田涼介の心の成長 東郷と綾華の“信じる”のギャップが今後のキーに?

『王様に捧ぐ薬指』“信じる”のギャップ

 多くの人の心を捉えるドラマには、名セリフがつきものだ。火曜ドラマ『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)第7話、東郷(山田涼介)が放った「俺がそのキス上書きしてやるから」も、そのひとつ。

 紆余曲折を経て、愛のある“本当の夫婦”になった東郷と綾華(橋本環奈)。だが、これまで美人すぎるがゆえにトラブル続きで、できるだけ人を遠ざけてきた綾華にとって、両想いから先のイチャイチャは未知の領域。東郷の熱烈なラブラブモードにも戸惑うばかりだ。

 そんな綾華を尊重し、これまで我が道を行くスタイルだった東郷も、綾華の心の準備が整うまで待つことに。そして、ゆっくりと楽しみながら愛を育んでいくつもりだった。しかし、そんな2人の隙をついたのが綾華の初恋の人・神山(坂東龍汰)だ。

 「ずっと好きだった」と告白するのと同時に、あっという間に綾華の唇を奪っていく神山。あまりに突然のことで綾華も動揺を隠しきれず、東郷の顔もまともに見られなくなってしまう。もちろんそんな綾華の変化を東郷が見逃すはずもなく、何があったのかを聞かずにはいられない。

 ここで実感したのが、東郷の心の成長だ。最初こそ動画撮影にかこつけて強引にでも綾華に何があったのかを聞き出そうとした東郷。しかし、それでは綾華の本音を聞き出せないとわかると、「今日は何も聞かないから楽しめ」とデートに連れ出す。

 スキンシップについても、言いにくいことを聞き出すことについても、綾華の決心がつくまで待つと決めた東郷。待つというのは、簡単そうでいてなかなかできることではない。人間誰しもが早くスッキリしたいもの。それまで悶々とした気持ちを引き受けなければならないし、つい答えを急かしたくなる。これまで自分のタイミングで何事も進めてきた人ならなおさらだ。

 それでも待つことができるのは、きっとそのときが来ると信じているから。相手のタイミングを待つとは、その人への“信頼”とかなりリンクしているように思う。東郷にとって綾華は、それだけ信頼できる人になったということ。「信じて待つ」とは、東郷にとって最大の愛情表現と言えるのではないか。

 そんな東郷の気持ちに応えようと、綾華も包み隠さずに真実を伝えた。神山にキスをされたこと。そして、心の中には東郷しかいないのだと神山に伝えたこと。そんな東郷の期待を上回る綾華の誠実な行動には、待った甲斐があったというもの。抑えきれない嬉しさが、キュッと上がった口角から見て取れるのも愛らしい。

 第7話は、そんな「待て」「お預け」状態の東郷の表情に癒やされた回でもあった。2人きりの夜に兄弟ゲンカをして家出をしてきた綾華の弟がやってくると、思わず綾華の肩に顔を乗せてシュンとして見せる。また、ベッドを綾華と弟に譲り、ソファで1人丸まって寝る姿もキングというより子犬のようだ。

 あれほど「犬!」と言っていた綾華の愛犬・ネギと、すっかり仲良くなっているのもまた微笑ましい限り。「遅いね」なんてネギに語りかけながら綾華の帰りを待ち、帰ってきた途端に「早かったな」なんて余裕を見せるところも、東郷のかわいいところだ。それを綾華が知らないのは、なんとももったいない。ハチが定点カメラでもセットしてくれてたらと思う。

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