『王様に捧ぐ薬指』橋本環奈×山田涼介が“本当の夫婦”に ここからが“本編”の始まりへ

『王様に捧ぐ薬指』“本当の夫婦”の愛

 愛のない契約結婚から、恋をして本当の夫婦へ。“きっとそうなるだろう……いやそうなってもらわなければ困る!”と期待していた展開をしっかりと描いてくれた火曜ドラマ『王様に捧ぐ薬指』(TBSテレビ系)。だが、まだ第6話と後半に突入したばかり。ここから期待以上のストーリーがつむがれるのではないかと、さらに期待が高まる。

愛のある“本当の夫婦”となるために必要なこと

 結婚式場で御祝儀が盗まれた責任を取って、ウェディングプランナーを辞めると決意した綾華(橋本環奈)。だが、綾華に好きな仕事を続けてほしい東郷(山田涼介)は、その決断を快く応援はできなかった。それどころか「専業主婦になってもいい」という綾華に「この結婚は1年限りの契約結婚」だと言い放ってしまう始末。

 綾華を気遣っているにも関わらず、素直に言葉をかけることができない東郷。そして、東郷に想いを寄せ始めた綾華もまた同じく、彼の言葉を不器用に受け取ってしまう。本当は誰よりもお互いのことを考えている反面、心を許している間柄だからこそ勢いに任せて傷つける言葉も発しやすくなってしまうものだ。

 大事なのはぶつかった後、どう乗り越えていくかだ。絵に描いたようなおしどり夫婦である綾華の両親も、若いころにはしばらく口をきかなくなったほどの喧嘩を経験したという。喧嘩した勢いで、桃子(りょう)に「本当はサバの味噌煮が好きなのに、我慢してお母さんのまずい醤油煮食べてんだからな!」と言い放った金太郎(塚地武雅)。すると、仲直りをするために桃子はサバの味噌煮を作って出したという。

 しかし、初めて作ったせいで酷い味だったというのもまた微笑ましい限り。金太郎が「でもな、それでいいと思って。お母さんと一緒に“まずいね〜”って笑いながら、サバの味噌にを食べるのが幸せだと思ったんだ」と愛しそうに思い出を語っている姿が印象的だった。

 それを聞いた綾華が「愛だね」と言わずにはいられないのも納得だ。喧嘩をした後に、口先で謝ることは、そんなに難しいことではない。しかし本当に大変なのは、作ったことのないサバの味噌煮を相手のために作ろうとした努力であり、その味がどんなにひどかったとしても一緒に笑顔で食べていく姿勢だ。

 曲げられないものがあるからこそ、人はぶつかる。けれど、その先もパートナーと一緒にいたいと願うのならば、少しずつ譲歩し合って、お互いのこだわりに馴染んでいかなくてはならない。それをする理由であり、エネルギーとなるのが、“本当の夫婦”としての愛なのだろう。

 綾華と東郷も、お互いに歩み寄って話をする。綾華のためにミルクリゾットやイタリアンすき焼きを作り、とっくに家族になろうという意思を見せてきた東郷。あとは、その真意を素直に言葉にするだけ。

「契約を解消して、本当の夫婦に」

 その申し入れに、うれし涙が溢れる綾華。そして、東郷は綾華の首元に渡せずにいたあのネックレスをそっとつける。それは、フィクションとして交わした結婚指輪よりもずっと重い意味を持つ夫婦としての誓いの証のように見えた。

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